ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

ゆるすということ

何度でも何度でも、読み直したい本。

小さな小さな文庫本に、大事なことがぎゅっと詰まっています。

ゆるすということ」(ジェラルド・G・ジャンポルスキー 著、サンマーク出版、単行本2000年5月初版、文庫本2006年6月初版)

 

ゆるすということ (サンマーク文庫)

 

ゆるすことで、私たちは自由になる

メッセージは、これ以上ないくらいにシンプル。

ゆるすことで、私たちは自由になる。

ゆるしは、他人だけでなく、自分も癒す。

ゆるすことで、私たちはあらゆる苦しみから解放される。


ゆるさないで居続ける、というのは、相手を罰しているようでいながら、自分自身が毒薬を飲み続けているようなもの。


わかる。わかるのですが、それが簡単ではなかったり、一度できてもまた忘れてしまう。

序文を書いているニール・ドナルド・ウォルシュ(『神との対話』の著者)の言葉を借りるなら、「ゆるしについて語るのは、実際にゆるすよりも簡単」です。(p.11)


だから、私にとっては、何度でも読むべき本。

多くの人にも読んでもらいたい本。

 

「ゆるしていない」ということに気づくことがまず一歩

「ゆるし」というのは、なかなか重たい響きなので、「自分がゆるせない人なんていない」「別に誰も何も恨んでない」と思われる方もいるかもしれません。

ジャンポルスキーに学び「怖れを手放す」を書いていらっしゃる水島広子先生の言葉を借りれば、人には「ポカポカした状態(=怖れのない愛の状態)」か「そうでない状態(=怖れにまみれている状態)」のどちらかしかなく、

もし、誰かや何かを思い浮かべて、批難や、卑下や、怒りや苛立ち、不安などの気持ちが湧いてくるのであれば、それは何かをゆるしてない状態です。

それはとても小さなことである場合もあります。

例えば、

ある時、「ありがとう」と言ってくれなかったこと。
ある時、「ごめんね」と謝ってくれなかったこと。
ある時、誰かと楽しそうにしていたこと。
ある時、自分が期待する何かをしてくれなかったこと。
ある時、自分よりもその人の方が優れていたこと。など。

私も、カウンセリングやコーチングなどを受けてきて、自分でもやってきて、大方のものはゆるし終えているものと思っていました。

が、こういう些細なことまで含めて頭と心の中を探っていけば、まだまだいろいろありました。

これらが、小さなしこりとして残っているのであれば、何かをゆるしていない可能性があります。

または、そういうことを感じなくて済むように、その人やその状況と距離をとっている場合も同様です。

「ゆるしていないこと」に自覚的である人の方が少ないかもしれません。

自分が何をゆるしていないのかが見えてきたら、それだけでも大きな一歩と思います。

 

誰のせいでも、何のせいでもない

私にとって、本書で一番インパクトがあったのはこの文章でした。

ゆるしの大切さ、つまり自分自身を含めてすべての人をゆるす大切さを学ぶには、価値観を変えなくてはなりません。手始めに、"うまくいかないときは何かのせいにしなければ気がすまない”という、エゴの考え方を捨てるのがいいでしょう。(p.78)

 

何かがうまくいかなかったとき、当たり前のように原因探しが始まります。

が、それは「何のせい」なのかを探す行為。

誰かのせいや、環境のせいにして、愚痴や攻撃に走る例もありますし、

もし相手や環境のせいでないならば、それは今度は自分のせいになってしまい、自分自身を攻撃し始めます。

自分のせいになってはまずいと思えば、どうにかして相手や環境の中に責任を負わせることができる非を見つけ出そうとします。

どっちに転んでも、どっちかにナイフが向いている。

 

誰のせいでもない。何のせいでもない。

私たちのエゴを司る『怖れに基づく価値観』を手放し、『愛に基づく価値観』を信じ始めると、見方が変わります。

『自分や他人を責める代わりに、愛に身をゆだねる』という、新しい価値観を手に入れるのです。(p.78)


他人をゆるすことは、自分をゆるすこと。

自分をゆるすことは、他人をゆるすこと。

 

ゆるすのは、相手のためではなく、自分のため

本書を読んで自分自身についてふりかえっていたとき、

私は、これまで「ゆるしとは、大人になって寛容になること」と思っていたんだな、と気づきました。

だから、相手が自分よりも年齢が上だったり、経験が豊富だったりすると、「ゆるそう」と思いつつも、自分の中で反発する声がうるさくて仕方がありませんでした。

「なんでこっちが大人にならなきゃいけないんだ。私だって寛容にされたい。私だってゆるされたい」と。私の中のエゴの叫びです。

今回改めて気づいたのは、「ゆるしとは、相手のためにすることではなく、自分自身が自由になるためにすることなんだ」ということです。

”改めて”と書いたのは、文字面だではわかってはいたはずだから。

ようやく自分事として腹落ちしてきた感じがします。

何か、苛立ちを感じたり、もやもやした時は、「私は何をゆるしていないんだろう」と自分に問いかけ、

そして、「私自身のためにゆるす」ということをやってみていきたいなと思いました。

道のりは長そうですけれども。

 

本の末尾にある著者の詩は、本書で書かれているメッセージが凝縮されており、折に触れて読み返すのにぴったりです。

手元にぜひ置いておきたい1冊。

 

自分も他人も攻撃せず、愛の価値観に基づいて生きていけますように。

 

【参考その1】

私が著者ジェラルド・ジャンポルスキーを知ったのは、精神科医・水島広子先生の著書「怖れを手放す」(ここみち読書録:記事 )から。この本は私のバイブル3冊中の1冊になっています。

ジャンポルスキーの著書「Love Is Letting Go of Fear」(ここみち読書録:記事)も好きです。

 

【参考その2】

ポッドキャスト番組「独立後のリアル」の関連回。

今回の記事が響いた方は、私の生々しい話を、きっと自分事として聴いていただけると思います。

独立後のリアル 金曜討論シリーズ
EP.133 自責と他責と承認欲求 この三角関係を解き明かす?! 

open.spotify.com

 

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