ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

2025年を制覇する破壊的企業

友人から紹介してもらって読みました。

今、グローバルビジネスの世界で起きていることがわかりやすくまとめられている本です。

2025年を制覇する破壊的企業」(山本康正氏 著、2020年11月初版、SB新書)

2025年を制覇する破壊的企業 (SB新書)

 

2025年にはこの11の企業が世界を制覇している。

Google、Amazon、Facebook、Apple、Netflix、Microsoft、TeslaImpossible FoodsRobinhoodCrowdStrikeShopify

 

各社の戦略や、どういうふうに業界を超えてくるかといったことが、スラスラ入ってきました。

内容については本を読んで頂くとして、ここでは私が感じたことを書きたいと思います。

 

米国を見ると、既にかなりのことが現実味を帯びている

ここで描かれている世界観は、1年前に読んでも、「いずれそんな世界も来るだろう」程度にしか受け止めなかったかもしれないですが、

コロナ禍で激変する世界を感じつつある今は、「うん、このままいくとそんな感じになりそう」とかなり現実味を持って感じられます。

 

同時に、日本と米国の差もかなり感じさせられます。

すっかり海外に行かなくなって他国の様子がわからずにいたので、この本で知る米国の様子、特に運輸・インフラに関しては新鮮でした。

テスラの自動車がかつてのプリウスが出始めた時のように売れているとか、

渋滞回避のため、LAと別地点を地下トンネルでつないでテスラが自動運転で走るとか、そしてそのトンネルは既にできているとか(走行動画:boring company)、

真空チューブのようなハイパーループをつくって、そこを航空機並みの最高時速1,000km/hのリニアモーターカーを走らせる構想が、既に試行走行を開始しているとか、(Virgin社のハイパーループ有人試験走行動画:

First Hyperloop Passenger Test - YouTube

日本ではやっとUberが解禁されてきたところなのに、米国ではもうロボタクシーが視野に入っていて、このままではUberのようなシェアライドのビジネスモデルは破壊されていくとか、

へー!っと純粋に驚きました。

 

11社、どれもこれも北米企業

11社全てが北米企業(Shopifyはカナダ、それ以外は米国)というのは、本書で意図的に設定しているところもあるのかもしれないですが、

自分の生活を振り返っても、GAFA+Mにだいぶお世話になっています。

コロナ禍で給付金が配られても、結局AmazonでApple製品を買ったりすると、この給付金の意味や目的は何なのだろうと思ったりもします。

日本製のものを買ったらいいじゃないかと自分で突っ込みを入れたくなりますが、それは自分の感性に従って、便利なもの・使いたくなるものを選びたい。

日本人だから日本のものを選ぶ、のではなくて、それを選びたくって選びたい。

消費者側がこんな具合ですから、企業の側も、日本人だけを相手にして考えるより、最初から国や国籍を問わずに市場を捉えていくことが必要になってくるだろうと思います。

 

「こだわるべきところ」と「こだわってる場合ではないところ」

本書ではこんな風に表現されているところです。

メガトレンド1:業種の壁崩壊とコングロマリット化の再来(p.105)

メガトレンド2:ハードでもソフトでもなく”体験”が軸になる(p.110)

「本業を決めない企業が勝つ」(p.118)

 

うちはハード会社なので、うちはこういう業界なので、と外形に縛られていると、

それがコダワリであるにせよ、外界が怖くて留まっているだけにせよ、

こちら側の理由や事情は関係なく、侵入者は外から入りたい入りたい時に入ってくる。

その垣根は恐ろしく低くなっている。

外形にはもうこだわっている場合ではない。

今とこれからの世の中に必要なものを生み出すために、自ら変わっていく必要がある。

本書では、激変する業種として、運輸、映像、農業、セキュリティ、モビリティ、建設、ヘルスケア、物流の8業種、

5年後、特に危険な業界として、小売、エネルギー、金融、ゲーム、システム(SIer(エスアイアー))、家電、モビリティ、対面だけの教育の8業界

を挙げています。

 

では何にこだわるか。何をよりどころにするのか。

それは、自分たちの組織は一体何のために存在するのか、といった問いだと思います。

Bigger Gameでいうところの「ゆずれない目的」です。

 

この問いに時代時代で向き合い続ける組織は、 変わり続ける。

場合によっては、自らの組織の一部を一度殺してでも、再生する。

石油の会社であるはずのシェルが再生可能エネルギーや電力市場に参入することや、GEが次々と事業を変えていくのは、外形ではなく、この問いへの自分たちの答えにこだわり続けているからだろうと思います。

そういう会社は外から見ると、コロコロ変わっているように見えるかもしれない。

でも実は、きっと、根幹・本質的なところは変わっていない。

 

データ、データ、データ

2025年の世界は、朝目覚めれば、声すらかけなくても、自分好みの音楽がかかって、スケジュールも教えてもらえて、健康は管理されていて、冷蔵庫の中のものが足りなくなれば自動的に注文&冷蔵庫に補充されて、どこかに行くには公共交通機関よりもロボタクシーの方が便利で安くて、そんな車の中でも仕事はできるし、好みのエンターテイメントも楽しめる。

目にはホロレンズ、耳にはエアポッズ、腕にはアップル・ウォッチ

キーボードを使わなくても、目の動きや体の動きだけで、操作も指示もできる。

頭で考えたことすらも、口にするまでもなく、そのままニューラリンクが自動的に汲み取って実行してくれる(これが2025年にできるというのはちょっと野心的かもしれない)。

必要なものは全部AIがレコメンドしてくれる。

 

何がそれを支えているかといえば、データ、データ、データ。

本書では、こう表現されています。

メガトレンド3:データを制するものが未来を制す(p.113)

 

私たちが何を見て、何を話しているか、全部取り込まれている。

より精度の高いレコメンドのために。

より気の利いたおもてなしのために。

より生活を便利にするために。

 

こういう世界がもう到来しつつあることに、ワクワクする人もいれば、気持ち悪さや居心地の悪さを感じる人もいるだろうと思います。

 

感じることは人それぞれであったとしても、大きな流れというものはあるだろうと思います。

結局、人は、便利だったり、安かったりする方に流れていく。

AIへの流れが加速するほどに、人間らしさの大切さも一層感じられるようになる、ということも同時に起きると思いますが。

 

データが取り込まれることを怖れて新しいものを使わない、というのもとてもよくわかる考え方である一方で、

新しいデバイスやアプリを普通に使えないと、日常生活にも支障が出るという時代もくるだろうな、とも感じています。

そんなわけで、最近は、目新しいものも、あえて試してみたりしています。

 

これから必要なスキル・あり方

本書では、2025年に必要な5つのスキルとして、以下5つがあげられています。

 英語、ファイナンス、データサイエンス、プログラミング、ビジネスモデルが読める(p.260)

 

私は、本書を読んで、これからの時代、今まで以上に、次の2つが大事になってくるのではないかと思いました。

スキルというよりもスタンス、コーアクティブ®︎的にいうとbeing(あり方)の話ですが。

 

倫理観

法令遵守というよりも、法令になるよりも前のもっと根源的なところです。(法令は結局後追いなので。)

様々な形で入手できるデータをどう使うのか。

データが示す分析結果をどう使うのか。

調べようと思えば何でも調べられる時代になるほどに、このデータの使い方を判断をする人の資質、判断が根差す考え方・価値観の重要性が問われてくると思います。

昨今のESGの概念よりも、もう1段深いところの話、という気がします。

消費者が商品やサービスを買う時、投資家が投資する時、その企業の経営陣がここにどれだけ意識的であり、どのように判断しているかということが考慮されるようになるのではないか、と。

あるいはそうあって欲しいという私の願いかもしれません。

倫理観には正解がなく、一朝一夕に培われるものではありません。

短期的には無視していても利益が上がるものでもあります。

だからこそ、ここに意識的でいるかどうかは、長期的に見るとその企業の力になるのではないか、と。

これも、単なる私の願いかもしれません。

 

学び続け、変わり続けていく意識

本書で上げる上記5つのスキルは今から5年後時点の予測であって、その先はまた全然違う可能性もあります。

既に、「何かを学んだら一生安泰」という時代ではなくなっています。

いくつになっても、学び続ける必要がある。

これを「疲れる」と思うか、「そういうもんだよね」と思うか、はたまた「面白い」と思うか。

学ぶ意欲や体力、学習力を考えると、若者の方が有利であるとも思います。

ライフシフト」でいうところの変身資産。

この重要性がますます高まっていくのを感じます。

  

そして、最後に、本書で教えて頂いた自分で覚えておきたいあり方。

ストラクチュアル・ホールになる

ストラクチュアル・ホールとは、「業界の壁を越える基点になる」ところ(p.271)。

同種の学校・経歴・業界の人とばかりつるむのではなく、属性の違う人たちともつながることで、異なる業界や人がつながるポイントとなる。

もともといろんな世界を覗いてみたい方だし、多様な人がいる場が好きなので、ありがたいことにいろんなバックグラウンドの方々と接点があります。

もっと意識的にそこをつないでいくことができるんじゃないか、ああ、そうだ、私はそれをやりたいんだった、と思い出させて頂きました。 

 

 

2025年の未来図は、2012年に出版されたWORK SHIFTでも描かれていたもの。

本書の世界観とWORK SHIFTの世界観は同じ方向性で、より具体的な企業名が入ってきた、と感じました。

なので、なおのことWORK SHIFTは先見的な本だったなぁと感じます。

そして、いつも思うことですが、未来は、誰かが描いた方に、確かに、進んでいく。

 

 

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2025年を制覇する破壊的企業 (SB新書)

2025年を制覇する破壊的企業 (SB新書)

  • 作者:山本 康正
  • 発売日: 2020/11/05
  • メディア: Kindle版
 

 

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