ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

大塚正富のヒット塾 ゼロを100に

とある仕事の関係で、念の為、読んでおこうかなと思って読みました。

この読書録に掲載するつもりはなかったのですが、見逃せないフレーズに出会ってしまったので、そこをハイライトして自分の備忘としたいと思います。

「ごきぶりホイホイ」生みの親 大塚正富のヒット塾 ゼロを100に

(廣田章光 氏 著、日経ビジネススクール編、2018年11月初版、日本経済新聞出版社)

 

「ごきぶりホイホイ」生みの親 大塚正富のヒット塾 ゼロを100に

 

大塚正富氏は、現・大塚ホールディングスの原点である大塚製薬工場の創業者・大塚武三郎氏の五男。

大学で化学を専門として学んだ後に、大塚製薬ではオロナミンCを、社長として着任したアース製薬ではゴキブリホイホイなどのヒット商品を生み出した方。

 

本書は、基本的に正富氏の成功から商品開発とマーケティングについて論じている本ですが、その中に、同氏の人間観・人生観についてご自身の言葉で綴られている箇所があり、そこがとても響きました。

以下、引用させて頂きます。太字は私の方で勝手にしています。

 

(前略)もともと、人生を生き抜くと言うことは大変な事業です。楽しいことや辛いこと、ときには自分の運命が、ガラリと変わってしまうような大きな変化に遭遇したり、死んでしまいたいような悲しい出来事にぶつかったり、本当に千変万化が世の中の常なのですが、それらの全てに打ち勝って、自分の人生を成功型に導く必要があるのですから、まさに大事業なのです。

 ことに現代社会のような過度な競争社会の中では、人間はお互い同士を運命共同体的存在として見ることをやめてしまって、他人を利用価値のある道具のようにみなしがちです。(中略)

 自分が負け犬であるかのように、毎日を生きている人たちも大勢います。心の奥底で、自分はまるで価値のない人間だ、と思い込んだり、自分は同年輩のものより早めに活力を失うだろう、とかいう根拠のない考え方を抱いてみたり、自分のような人間は世間の誰も振り向いてくれないだろう、と決め込んだり、この仕事に失敗したら二度と立ち直れないだろう、と弱気になったりしています。

 そうした自己判断は、まるで根拠のない被害妄想に近いものなのですが、本人にとっては動かしがたい「心理的事実」であって、他人の忠告など無責任な放言として受け取り、頑固に自分の心理像を守り通そうとします。(中略)甚だ残念なことに、彼らがそう信じ込んでいる限り、彼らの運命は彼らの信じ込んでいることと大差のない結果に終わってしまうのです

 だから、人生において基本的に大変重要なことは、このような敗北志向型に今、あなたの考え方が向かっているのならば、直ちにこれを抑制して成功志向型に振り向けていただくことです。(中略)(p.150-151

 

 いったい、世の中で「成功」とはどういうことなのでしょう。あえて「成功する」を定義づけるならば、「自然が与えてくれた、ありのままの自分を勇気を持って受け入れ、それを最大限に生かし、敗北者流の人生観を捨てて、望ましい自己実現を遂げること」といえるでしょう。(中略)

 ところで、あなたは次のような考えをもったことはありませんか。例えば、もう少し頭がよかったら、もう少し健康に恵まれていたら、もう少し給料が高かったら……。(中略)

 この「もし……ならば」の公式によって、「行動延期」を行う人は敗北型の人間なのです。あるいはいつの間にか、敗北の方向に向かっていると言う意味で敗北志向型と呼ぶべきでしょう。この人たちを敗北者あるいは敗者と呼ぶことには問題があります。なぜならこの人たちは一度もまともに戦おうとしなかったのですから。p.151-152

 

 人生を生き抜くと言うことは、「試行錯誤」の旅のようなものであり、全ての問題の先々まで見えているわけではないので、いろいろ試みて、次第に失敗を排除していくという生き方を誰しも取らざるを得ません。「誤るのは人の常」といわれるくらいで、その意味では失敗体験は日常的なものであり、決して恐れてはならないものだといえましょう。

 ところが、人によっては、ちょっと失敗体験を重ねただけで、そのことについて全く不当な劣等感を抱く人がいます。(中略)

 一般的にいえることですが、何かに何度か失敗すると、人間は「私は〇〇に失敗した」というように動詞を使うのをやめて、「私は〇〇の失敗者である」というふうに名詞にすり替えてしまう傾向があります。これは単に動詞から名詞に転じたということ以上の深い生理的、心理的な意味をもっています。

 (中略)いったん自分自身を否定するような概念が心の中に宿ると、ジリジリと健全な心を冒していくようになります。(後略)(p.153-154

 

 大事なのは、過去において、多少失敗があったからといって、そのことゆえに自分自身を嫌うようなことがあってはならないということです。

 ありのままの自分を素直に受け入れ、自分を嫌わないことが、成功型の人間をつくる非常に重要な要素です。自己容認のできない人には、外形的な成功は訪れても幸福感の伴った成功は訪れないでしょう。

 成功型の人間になるもうひとつの絶対的な条件として、「行動する勇気」を掲げたい。(中略)

 こんな言葉を聞いたことがあります。「知性はすべてを予見した後でなければ行動したがらないであろう。ところで、全てを予見することは不可能であるから、知性はいつになっても行動することはあるまい。成功する企業は知性によって先の先まで準備された企業ではなく、風雪をしのいで進展してきた企業である」。この「企業」を「人」に置き換えてもそのまま通じることかもしれません。

 ともあれ、「勇気が逃げれば、すべてのものが逃げていく」と言う西洋のことわざがあることだけでも知っておけば、明日も力強く生きていく助けになるでしょう。(後略)(p.154-155

 

これ以上追加したい言葉はありません。

自分自身を憐むような気持ちが襲ってきた時は、何度でも読み返したい文章です。

 

 

この引用が響く方には、こちらの本もオススメです。

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