ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか

先日読んだ「2025年を制覇する破壊的企業 」と同じ著者の本です。

シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか」(山本康正氏 著、東洋経済新報社、2020年7月初版)

こちらの本の方が、著者の方の問題意識や思いがより強く伝わってきて、私は本書の方が好きでした。

 

シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか

 

テクノロジーやビジネスに関しては、先に読んだ「2025年・・・」でわかりやすくまとめられていたので新しい驚きはありませんでしたが、

日本の社会、教育、大企業、政府、国際機関、メディアなどに対する問題意識・危機感は、共感するところばかりで、読みながら、始終うなずきっぱなしでした。

過去に私自身も大企業や政府、国際機関と接点のあるところにいた経験があるので、余計にそう感じるのかもしれません。

ベンチャーで一旗あげたい人だけではなく、むしろ、いわゆるトラディショナルな業界にいる方々にこそお薦めしたい本だとなと思います。

 

テクノロジーや戦略の話などは本書を読んで頂くとして、

私が最も共感し、メモしておきたいと思ったのは、起業家がどういう人であるべきなのか、というくだりです。

私が人を見る時、全く同じように考えているなと思いました。

それを言語化していただいて、とてもすっきり。

 

 投資をするにあたっては、もちろんビジネスやテクノロジーも重要ですが、最終的には、起業家その人を見ることが最も重要になります。コミュニティーや知人、友人からの紹介ということで、一応の信用はあるわけですが、その上でどういう人物なのかを自分なりに理解するのです。

 私がシンプルに意識しているのは、10年先もこの人は同じことをしているか、ということです。今は起業がブームでもあります。かっこいいからやっている、という人もいないわけではありません。自分を試したいから、という人もいます。

 有名な学校を出て、有名な会社や金融機関で働くのもいいけれど、もっとチャレンジがしたいから、ということを企業の動機に挙げる人もいますが、私個人としてはあまり惹かれません。起業以上にチャレンジしたいことが出てきたら、きっとそっちに行く可能性が大きいのです。

 この事業をどうしてもやりたい、この事業をやらないと自分は生きた意味がない。そんな風に思えるほどのパッションがあるかどうか。何時間でもそのビジネスについて延々と語り続けられるくらいの熱意があるか、そのロジックや筋は通っているかということは最も見ているところです。

 そういう人の起業では何が起こるのかと言うと、自然に周りの人たちが応援するのです。その人の能力に足りないところが多少あったとしても、この人をサポートしていこう、という人が次々に出てくる。

 どんなに優れた能力がある人でも、完璧な人はいません。大事なことは、その人の能力の高さ以上に、他の人のいろいろな能力を借りてくることができる力です。これこそが、起業後の成否を大きく分けていきます。

p.191-192

 

 それでも成功できるかどうかは、起業家その人にかかっているのです。起業に対する意識や思い、苦労の連続でもへこたれない人、自分より優秀な人を認めて彼らに仲間になってもらえる人。それがビジネスを大きくできるか、スケールできるかどうかを大きく左右します。(p.194)

 

 何をやりたいのか。世界をどう変えたいのか。その手段が、たまたま起業だった、といえるか。どうして世界はこうなっていないのか、と強い思いを持っているか。それが動機になっているか。(p.195)

 

太字は、私が勝手にしています。

 

起業に限らず、転職などにおいても、上記は全く同じことだと思います。

より難関な企業に入りたいとか、キャリアを積み重ねることをゲームのステージクリアのように捉えている人は、それが起業であれ、転職であれ、社内の出世であれ、コーチとしても応援する気になれません。こういう時、それが本物の目的や意欲では無いことはすぐに臭います。

もちろんその状態からコーチングが始まることもあるのですが、その場合は、私はすぐに起業や転職の話に入るよりも、本当の純粋意欲は何なのか、何を創り出したいのか、一体何を怖れているのか、一体何を証明しようと躍起になっているのか、というところを扱っていくようにしています。

実際、その辺りを誤魔化していても、起業も転職活動も、思うように進まないことが多いと思います。

 

そう、私がコーチングなどを通じてサポートしたい人たちは、こういう人たち———つまりは、手段はわからなくとも、創り出したい世界についての思いやパッションがあり、それを行動に移していこうとしている人たち、あるいはそうなっていきたい人たちだった、と、改めて思い出させてもらう本でした。

 

そんなことも思い出しながら、この年末年始は、2021年の自分のあり方や注力する方向を考えてみたいなと思います。

 

 

さて、今年の読書録はこれが最後の記事となりそうです。

今年は本記事を入れて31記事。私としては過去最高。毎月1本以上あげたのは今年が初めて。

映画やドラマ、新聞連載など、本以外のものもかなり混じってきておりますが、皆様がこれまで触れていなかった本や作品と出会ったりする機会になっていれば幸いです。

 

どうぞよいお年をお迎えください。

 

 

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