引き続きハマっています。
そしてここまで読んできてよかった、と思わせてくれる1冊。
今回は、深かった。
笑うというより、涙ぐみました。
「夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神」(水野敬也 著、2023年2月文庫本初版(単行本は2020年6月刊行)、文響社)
ここまでの1巻〜3巻では、「夢をかなえるにはどうしたらいいのか」についての指南書。
4巻は、夢がもたらす苦しみなどが紐解かれ、夢を持たなきゃいけないのか?という疑問にガネーシャが答えてくれます。
さらに、終盤からは、夢をかなえるということ以上に大切なことが書かれていると感じます。
つながり、ワンネス。
死をどう捉えるのか。
ガネーシャがここまで導いてくれるとは、正直、想像以上でした。
すべての人にぜひ読んで欲しい本。
ただ、ここに来る前に、1巻〜3巻も経てきてほしいと思います。
その方が、ガネーシャの教えがより意味と重みを持って届いてくると思うから。
軽さあり、深さあり、笑いあり、涙あり。
著者の水野さん、本当にすごいです。
本書を読むと、人や世界や自分に、もっと優しくなれると思います。
少し、死への恐怖も和らぐとも思います。
なお、私は、ここまで1巻を文庫本で、2巻・3巻をAmazonのAudibleで聴いてきて、この4巻も最初はAudibleで聴いたのですが、本巻は文字でも読みたくなり、文庫本も後追いで買いました。
そしたら、挿絵があったり、書体が語調に合わせて変化していたりで、面白かったです。
目でも耳でもお楽しみください。
以下は、私自身の備忘録:
人間が死に際に後悔すること(死神より, p.72-73)
1. 本当にやりたいことをやらなかったこと
2. 健康を大切にしなかったこと
3. 仕事ばかりしていたこと
4. 会いたい人に会いに行かなかったこと
5. 学ぶべきことを学ばなかったこと
6. 人を許さなかったこと
7. 人の意見に耳を貸さなかったこと
8. 人に感謝の言葉を伝えられなかったこと
9. 死の準備をしておかなかったこと
10. 生きた証を残さなかったこと
「人間は、ある時期から死を、徹底的に遠ざけるようになった。死は『憎むべき敵』だとみなされ、死から逃れるためにありとあらゆる技術を発達させてきた。しかし、どれだけ遠ざけたとしても、死は影法師のように必ず人間につきまとう。その結果、どうなったか?(中略)
人間は、死を『敵』だと考えたことのしわ寄せを、死に際に受け取ることになったのだ。(中略)
この部屋に存在しているものは全て死と戦うためだけにーー患者を一秒でも長く生きながらえさせるためだけにーー存在している。患者の『幸せ』や『救い』を最優先して作られたものは何一つない。 (中略)
お前たちが好きな医学用語を使うなら、死の恐怖とは、お前たちが死を嫌い、遠ざけたことで生まれた副作用というわけだな。『死が悪でないことが大きな幸福である』ーー古代ローマの詩人、プブリウス・シルスの言葉だ」(死神、p.324-325)
頑張ることが『良い』とされればされるほど、頑張らへんことは『悪い』ことになる。若さを保つことが『良い』とされればされるほど、老いることは『悪い』ことになる。夢をかなえることが『良い』とされればされるほど、夢をかなえてへんことは『悪い』ことになる。人間の歴史が始まって以来、今ほど、個々の人間が夢をかなえてへんことが『悪い』とされる時代はあれへんかったで。(中略)
今、世の中の人らが感じてる苦しみの多くはな、『夢』が生み出してんねんで」
僕はガネーシャの言葉に深く考えさせられた。
夢とは、何かを強く望むと言うことだ。
それは同時に何かを手に入れていない「今」を強く否定することでもある。(p.340-342)
ガネーシャは、人生で後悔しないために必要なのは、次のことだと言いました。
「両方のやり方を知り、自分に合った方を選ぶ」
これと同様に、「夢のかなえ方」と「夢の手放し方」の両方を学び、選べるようになることは、後悔しない人生を送る上で最大の助けとなるでしょう。
そしてこの二つを学び終えたとき、あなたは、
「夢をかなえるために努力する」
「夢に縛られる苦しみから解放される」
どちらの道にも進むことができる、本当の意味での「自由な人生」を手に入れられるはずです。(p.346-347)
「ほんなら、次はこれやってみや。『つながりを意識する時間を持つ』 (中略)
この世界にあるものは、ほんまは『同じもの』が変化し続けているーーすべてがつながっているーーんやけど、自分らはその一部だけを切り取って、岩、石、砂、て名前をつけて、別々のものとして認識しとる。そういうものの見方が当たり前になってもうてるから、全体と自分を分けてとらえてまうんや。 (中略)
全体から切り離された『自分』を生きてるから、他の人に認められたり、優越したり、持ってないものを手に入れなあかんて思てまう。でも、ほんまは、優越すべき相手なんておらへん。手に入れなあかんもんなんか何もない。この世界に存在するすべてのものは、形を変えただけの、自分と同じものなんやからな。 (中略)
夢が生み出す苦しみから逃れる方法はな、目の前にある石が、かつては岩だったことや、これから砂になることを思い出すことや。自分らが、岩、石、砂て分けて呼んでるもんは、ほんまはつながっている一つのものであり、そのつながりの中に自分も含まれとるちゅうことをな」(p.388-389)
「つながりちゅうのは、目に見えるものだけやのうて、一見、それが何の役に立っているかわからんようなものでもーー場合によってはマイナスに思えるようなものでもーー見えへんとこでつながってるものやからな。(中略)
僕はガネーシャの話に何度もうなずきながら、「他者の欠点を受け入れる姿勢を持つ」という課題を思い出していた。
ガネーシャは、その方法の一つとして、「相手の背景を想像する」と言っていたけれど、それもまた、相手と世界とのつながりを思い出すことだ。
すべての人間は、この世界から生み出され、いつかは他のものに形を変えていく。そのことが想像できれば、どんな相手に対しても尊重する気持ちを持つことができる。また同時に、自分と世界のつながりを想像することができれば、自分と他者の境界線はあいまいになり、こだわりや苦しみが消えていく。
ガネーシャは、「現代人の考える『夢』とは、『完璧な状態』を目指すこと」だと言った。
では、完璧な状態とは何か?
それは、「これ以外ではダメだ」という、他の何ともつながっていない「特別」な状態だ。
大金を手に入れるのも、人にはできない仕事をするのも、特定の異性と付き合うのも、すべて「特別」な状態だ。
ガネーシャの描いた石の絵で言うなら、「この大きさ、この形でなければダメ」であり、その石は、他のどんな石ともーーもちろん岩や砂ともーー違うという考えだ。
その境界線を色濃く引けば引くほど、獲得したときの快感は大きくなるだろう。
ただその快感と引き換えに、手に入れていない状態の苦しみは強まっていく。
さらに、特別な状態は、手に入れた瞬間に特別ではなくなる。すると、その人は新たな境界線を引き、それを手に入れようと、駆り立てられ、苦しみ続けることになる。
その考えを伝えると、ガネーシャはゆっくりとうなずいて言った。
「だからこそ、この世界は、同じものがただ形を変え続けているだけやちゅうことをーー特別の状態なんて存在せえへんことをーー思い出す必要があるんやな」
僕はガネーシャの言葉に何度もうなずきながら、自分の中に大きな希望が芽生えているのを感じた。
普段の生活の中で、すべてがつながっていることを想像し、意識し続けるのは簡単なことではないだろう。
でも必ずできることだ。
なぜならそれは、今持っていない何かを新たに獲得することではなく、最初から自分の中に備わっているものに、気づくことだからだ。(p.390-392)
つながりを意識して生きること。
大事とわかっていても、気づけば忘れてる。抜けてる。
もっとやっていこうと、改めて思いました。
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