先日、マツコ会議にコシノ・ジュンコさんが出演されていて、大好きなお二人による贅沢すぎる対談を楽しみました。
で、以前、母が私のために切り取っておいてくれたジュンコさんの「私の履歴書」の連載を、引っ張り出して読み直してみました。
2019年8月の連載ですが、日経電子版でも読むことができます(有料)。
対談を見て、人生を読み直して、思ったこと、つらつらと。
どこまでも尖ってる
改めて、私、やっぱりこのお方、好きだなぁと思いました。
どこまでも尖ってる。
一番乗り、負けず嫌いを公言して憚らない。
遠慮する感じもなく、悪びれる感じもなく、なんというか、この潔さが気持ち良い。
人によってはゴーマンに感じるかもしれないけど、人を見下す感じはない。
過度なケアはしないけど、どんな人をもエンパワーする感じがある。
ご自身が全身全霊で生きていらっしゃるし、相手に才能があろうがなかろうが、一生懸命生きている人を応援してくれる感じがするのが、とても惹かれる理由かもしれません。
ジュンコさんの周りに広がる世界
ジュンコさんに面白さを感じるもう一つの理由は、彼女が時代時代の渦中にいたり、ムーブメントをつくってきているというところ。
ご自身でも、「モンパルナスのキキ」(20世紀前半、キスリングや藤田嗣治らがモデルにしたことで知られる女性)が心の中のアイドルだったとおっしゃってますが、私も、1920年代の頃のパリが大好き。タイムマシンを一度だけ使えるというチャンスが得られるなら、躊躇なく選ぶ時代と場所です。(そんな映画もありました。ミッドナイト・イン・パリ(字幕版))
絵描や物書きたちが集まって、ジャンルを超えて、知性や感情やセンスが入り混じり、交わり、相互に刺激しあっていた時代。
今ドキの「対話」のような穏やかな平和な感じと言うよりも、もっとはちゃめちゃな、時にはぶつかりあうこともあるような、もっと人間味が溢れるような空気感という印象を持っています。
文化服装学院の「花の9期生」(1958年入学)の一員として、高田賢三さん、松田光弘さん、金子功さんなどと切磋琢磨し、学外の三宅一生さん(多摩美術大学)とも共に学び合い、平凡パンチなど、当時を代表するような雑誌と共に時代を作り、キラー通りなんていう道の名前までつけてしまったり、タイガースの衣装を担当するなどなど、業界を超えて交流が広がっていく。
これって、まさに、キキが生きたパリの頃のようです。
人集う所に文化あり。真面目に遊ぶことが、トレンドや流行歌や芸術を海、世の中のお金も回していたのだ。(2019/8/12)
次元も規模も相当違いますが、私自身の周りにも、主にビジネスの世界で、これからの日本をつくっていきそうな面白い人たちがいて、そういう人たちと会って話したり、そこで横に繋がっていったりしている時は、私は妙に嬉しく、面白く感じます。
まだ目に見えきっていない、でも今の時代に確実にある何かを共有している感じ、それをみんなで探ったり試したりしている感じ、そんなものに、ワクワクしますし、それを本当にやっていって、自ら形にもしていかれたジュンコさんには憧れます。
生き方そのものが仕事に表れる
表現にはその本人が表れるといいますか、大胆なファッションはご本人の大胆さそのものとも言える。
例えば1964年の、3週間の欧州視察旅行。
公務員の大卒初任給が2万円の時代に、旅費だけで30万円の長旅に行く。
今の公務員の大卒初任給が22万円くらいのようなので、今の時代の感覚的には渡航&宿泊費だけで330万円の旅行。
「行くしかない」という姿勢に躊躇はなく、お金をかき集め、店舗も閉鎖、従業員も解雇。
こういう大胆さって、現実には、なかなかできるものじゃない。
こういう日頃の大胆さなしで、ああいう作品が生まれるわけない。
生き様が仕事に出る。
アーティストは、それが最も顕著な職業だけど、私たち一般人だって、次元は違えど、同じことが起きてると思います。
子育てってなんだろうなぁ
そもそもジュンコさんについてよく知ったのは、そして惹かれたのは、NHKの朝の連続テレビ小説「カーネーション」がきっかけでした。
コシノ・ヒロコさん、コシノ・ジュンコさん、コシノ・ミチコさんという、どなたも個性的なデザイナー3人を産んだお母様コシノ・アヤコさん(カーネーションの主人公)は本当にすごい人だったんだろうなぁと思います。
その子育てはどんなだったかと言えば、子ども最優先というよりは、仕事優先。子どもが話しかけても仕事の手は止めない。
そうせざるを得なかったという当時の事情があるとはいえ、アヤコさんも仕事自体を楽しんでいた感じがある。
仕事に集中するため、そして、お得意先の生徒数を増やす協力のため、我が子も習い事に連日放り出す。
それでも子どもはしっかり育つ。
むしろ普通の家庭よりもよっぽど立派に育っている。
べったりはりついて、何でも手取り足取りしてあげる家庭よりもよっぽど生きる力が備わってる。
「子どもに向き合ってあげる時間がない」と罪悪感を感じるママさんたちは私の周りにも沢山いるけれど、もちろんアヤコさんもそう感じることもあったと思うけど、そんな現代のママさんたちには昔のお母さんたちの姿も教えてあげたい気持ちになります。
女性の数だけ働き方と子育ての仕方があっていい。(もちろん男性も)
女性のロールモデルとしても、この母&3姉妹の例は、素敵だなと思っています。
お母ちゃんが心がけたのは自由放任と平等主義。娘たちがどんなにケンカしようとほったらかし。「負けるのは自分のせいや。もし欲しいもんがあるなら、自分の実力で勝ち取ったらええやん・・・」と口癖のように言い続けた。(2019/8/1)
向こう岸、見ているだけでは渡れないーー。お母ちゃんが私に残してくれた言葉も大好きだ。最初から結果を恐れていたら何も生まれない。「思い立ったら即実行」という信念で走り続けてきた。(2019/8/1)
母・アヤコさんのエネルギーは3姉妹にも脈々と流れていて。
最後の〆の言葉には、本当に共感しました。
数々の恥ずかしい失敗談も披露したが、自分なりに精いっぱい走ってきたつもりだ。今でも人と出会うのが楽しくて仕方がない。これまで多くの人から刺激と感動をもらってきた。「人との出会いは宝物」をモットーに今後も体力の続く限り仕事を続けたい。(2019/8/31)
私も、これからもいろんな出会いから刺激と感動をもらっていきたいし、私自身も、このブログも、Twitterも、ポッドキャストも、誰かにとって存在になっていけたら嬉しいです。
このブログはこんな人が書いています。
ジュンコさんの著書:
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