ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

運命はこうして変えなさい 賢女の極意120

林真理子さんが週刊文春で34年間やってこられた連載エッセイから120の言葉を選び出してまとめた文庫本。

女、恋愛・結婚、男、生きること、家庭、仕事、食べること、オシャレについての8項目について、林真理子先生節が全開。

運命はこうして変えなさい 賢女の極意120

帯の言葉は、「幸せになるためのちょっとした知恵、教えます、上質で豊な人生を送るための"マリコ語録"」(林真理子 著、2018年1月初版、文春文庫)

運命はこうして変えなさい 賢女の極意120 (文春文庫)

 

強い表現に対してここまで風当たりが強く、しかもネット上で誰でも匿名で酷い言葉を投げつけて去っていくことができる時代において、自分の思ったことや感じたことをそのまま呟くことがとても難しくなっている。

そんな時代の中において、連載エッセイでここまで書ける、しかも本の形にまでして残される林真理子さんには、それだけで敬意を抱きます。

冒頭の「まえがき」にプロの凄みを感じました。

 私たち署名原稿を書く者の誇りは、全責任はすべて自分が負わなければならないということだ。失言したこともあるし、個人的に謝罪に出向いたこともある。

 何よりも連載を続ける、ということはシビアなものだ。何人の執筆者が週刊文春から退場していったことであろう。

(中略)

 反発されるのわかって再び言うが、私たちはプロである。皆がネットでたれ流しているようなことを書いてもお金はもらえない。毎回、新しい発見、新しい視点を探さなければ、エッセイ連載を続けることは出来ないのだ。小説を書いている方がラクチンと思うことも何度もある。

 そうして私たちは鍛えられ、意地悪くなり、好奇心が強くなり、ふつうの人よりもいろんなことが見えるようになったと思う。この本を読むと自分でもそれがわかる。(p.9-10, まえがき)

 

他人ゴトのものは笑えるけど、自分ゴトのものはグサッともくる。

公にはそんなことは言えないけれど、確かにそうだよね、、、と一人思ってしまうお言葉も。

 

#002

 女というのは、
 十五歳の時をどう生きたかで、
 その後の人生が
 すべて決まってしまう。

 その時に可愛くて人気者でモテたとしたら、女王様気質は出来上がってしまう。仮に悲惨な思春期をおくったら、その後どんな美人に変身しようとも、やはりいじけた性格になってしまう。

 この呪縛から逃れるただひとつの方法は、

「私は可愛かった。
 私は美人だった。
 私はモテモテだった」
 と自分にも他人にも言いきかせる。

 するとあら不思議、本当にそうだったと思えてくるようになるそうだ。現在の地点から過去を立て直す。すると今の自分もぐっととよくなってくるという。(p.14-15, 女について)

 

#011

 女性が思ったことを何でも口に出来る、という立場になるには、
 ①年齢、②地位、③お金、④地位の高い夫
 のいずれかを
 手に入れなくてはならない。

 年をとった女性がすごいことを口にしても、みな笑って許してくれるものだ。瀬戸内寂聴先生などは、①、②、③とあるうえに宗教的ありがたみをお持ちだから、怖いものなんか何もない。(p.32-33, 女について)

 

#042

結婚する男の人に、
いろんなことを
求めてはいけない。
三つのことがかなえられたら
それで十分なのだ。

まず健康であること。
自分の仕事が大好きであること。
そして
箸使いがきちんと出来ること。(p.94-95, 恋愛と結婚について)

 

#048

所詮
カスとの恋は、
カスな思い出しか
残らない。(p.106, 恋愛と結婚について)

 

#050 

ひとつ、男は
過剰なものが嫌いだ。
ふたつ、男は
説教する女が
もっと嫌い。(p.110, 男について)

 

#051

地味な男の人ほど
派手な女が好きだ。(p.112, 男について)

 

#054

男は女よりもずっと
ロマンチストである。

自分だけにわかる女の美点というのも好きだし、庇護者としての喜びもある。悪い女にハマって堕ちていく自分......というのにも快感がある。が、女というものはもっと現実的で生活がかかっている。男女同権などといっても、経済力を持つ男をつかまえるかつかまえないかで、かなりの差が出てくるのが正直なところだ。(p.118, 男について)

 

#062 

松茸は松茸ということだけで
人を屈服させられるが、
男はエリートということだけでは
人を魅きつけることができない。(p.134, 男について)

 

#063

ブ男ほど、
人の悪口を言う時に、
すぐに容姿をあげつらう。
無教養の人ほど、
人の学歴にこだわる。(p.136, 男について)

 

#066

仕事も順調、
私生活もいい感じ、
どうやら運がいい時期に
自分は入ってきたなあと
思った時に、

人間は
勝負を賭けなければ
いけない。(p.142-143, 生きることについて)

 

#068

義理と人情のしがらみを
手でよけながら前に進む。
そしてときどきは
負けたふりもする。

私という人間は複雑な人間関係が決して嫌いではない。ときどきは義理と人情にからめとられてみる。イヤだ、イヤだと言いながら、こうしたプロセスは、なぜかいつも私に不思議な活力を与えてくれるのだ。(p.146, 生きることについて)

 

#081

学歴や偏差値に
こだわる人間を嗤う人間
というのは、
実は自分が学歴や偏差値に
こだわっているのである。(p.172, 生きることについて)

 

#082

「自己投資」という言葉には、
実に傲慢な響きが
ありはしないだろうか。

なにしろ自分を、投資に価する人間だと信じきっているのだから、たいした自信である。
私のような凡人は、自己投資などと生意気なことを言わず、あくせくみっともないことをする方が似合っているような気がする。(p.174, 生きることについて)

 

#083

人間は顔じゃなくて心だ
などというのは
もちろん嘘っぱちだが、
その顔の好みに
いろいろあるから、
人間は恋をできるし、
楽しく生きていける
のである。(p.177, 生きることについて)

 

#091

母親が私に授けてくれたものの中で、
いちばん有難いと思っていることは、
私が何者でもない
ということを教えてくれたことである。(p.192, 家庭について)

 

#092

いったいいつ頃から、
人は一切合切を
学校に要求する
ようになったのであろうか

(中略)学校は教育をするところで、躾はうちでやるものではないのか。(p.195, 家庭について)

 

不愉快に感じるものも、納得できないものも、あるかもしれません。

もちろん、これは林さんが提示する一つの視点、一つの考え方。

これが正しいわけでもない。

自分に役立つものだけ、自分をラクにしてくれるものだけ、選び取ればいいと思います。

 

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本書は断片的なので、パラパラっと読む感じです。

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