あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
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「人は話し方が9割」(長松茂久 氏 著、すばる舎、2019年9月初版)
本屋で何度も見かけていましたし、新聞などの宣伝でもよくみていました。
ものすごく正直に申し上げれば、プレゼンをどうよく見せるか、とかそういう話なんだろうなと思って、全く興味を持っておりませんでした。
私の悪い癖。すぐ思い込みを持ってしまう。
年末、本屋で待ち時間があったときに立ち読みしてみて、「あ、こういう本なのか」と思って買いました。
「こういう本」とは、
一つは、プレゼンの話ではなくて、日常会話における話であること。
「職場、家族、友人、配偶者、恋人、コミュニティの仲間・・・といった身近な人たちとの人間関係を円滑にする方法」(p.6)です。
書名を言い換えるなら、「人間関係は話し方が9割」(P.147)。
もう一つは、言い回しとか言葉遣いの話もあるけれど、それ以上に、どういうスタンスで話すのかというところに焦点を当てていること。
私が実践しているコーチング、コーアクティブ的にいうと、Doingだけではなくて、Beingに重きを置いてること。
これ、とても大事だと思います。
対象としては、プレゼンをうまくなりたい人、ではなく、
「普段、人と話すことが苦手だ」というメンタルブロックがある人に向いていると思います。
あるいは、
「オレ、ワタシ、コミュニケーション上手だし」とかなり強気に思っていらっしゃる方こそ、読まれると良いかも、とも思います。
私、かつて、このタイプだったのではないかと思い、振り返るととても恥ずかしくなります。
意図せず人を傷つけているのに、自分ではコミュニケーション上手だと思っているので、相当にタチが悪い。。。
その後、私自身は「コーチング・バイブル」という本に出会い、CTIでコーアクティブ・コーチングを学んだことで話し方も、聴き方も随分と変わり、今では、本書に書いてあることの多くのことは、自分の自然なコミュニケーションの中に入ってきています。
おかげさまで、周囲は素敵な方々ばかりになり、人間関係も総じてとても良くなりました。
とはいえ、今でも、本書に出てくるNGな話し方、ついやらかしてしまうことも多々あります。
昔から染み付いたクセはそうそう簡単には取れません。
本書は、そんな意識すべきことも思い出させてくれました。
日頃の自分への戒めも込めて、私が本書の中から特に覚えておきたいこと4点。
いい会話は安心から生まれる(p.214)
「人はリラックスした状態のほうが、パフォーマンスが上がるようになっています。」(p.214)
これは本当だと思います。
だから、自分も安心していた方がいいし、相手のことも安心させてあげたほうがいい。
そのためには、「全肯定」(p.29)
「話している相手を決して否定しない、そしてあなた自身も否定させない」ということです。
つまり、相手との間に「否定のない空間」を作るのです。
人は自分を肯定してくれる人を肯定するようにできています。
そこであなたが相手を否定しなければ、相手もあなたを否定しなくなっていきます。
「相互全肯定」の状態です。(p.29-30)
この対局にあるのが「4Dワード」=「でも」「だって」「どうせ」「ダメ」(p.174)。
これ、昔、めちゃくちゃやってました。特に「でも」。
コーアクティブ・リーダーシップ・トレーニング中、仲間の一人に、「こっちが何か言うと、いつも「でも」って言うよね」と指摘されて、「えっ?!」って自分で驚いたのを覚えています。
その彼女には、今でも本当に感謝です。
肯定することと、相手の意見に賛同することは違います。
だから、肯定した上で、違う意見も言ってもいいわけです。
例えば、こんな風に。
「そうだよね。ただこういうのはどうだろう」と、まず相手を肯定してから自分の意見を話すと柔らかくなります。(p.175)
自分を押し殺して相手に合わせることは、自分自身を否定することにもなります。(p.205)
カウンセリングの学習などでよく出てくる、I'm OK, You are OK。
全肯定ってこういうことかもしれません。
一番大切なのは、思いやスタンス(p.84)
ここも、これ以上ないくらい同意する点です。
同じ言葉、例えば、「どうしたの?」という声かけひとつをとっても、どういう表情で、どんな口調で、どんな雰囲気で言われるかによって、何か失敗を咎められているようにも、心から気遣ってくれているようにも聞こえます。
これは、表面的な表情、口調、声色を操作したところで、本心はバレます。
だから、かける言葉以前に、どのスタンスからそれを言っているかが、とても大事。
「何を伝えたいか」「どういう意識で相手と接しているか」--こうした内面は、必ず会話にもにじみ出ます。
それをわかった上で、自分自身がどういう言葉を選択するか。そこが、人の心に響く本当の話し上手になれるかどうかの分かれ道です。(p.85)
スタンス(ものの見方、考え方)は、一朝一夕にできるものではありません。
よって誤魔化すことができるものでもなく、結局のところ、日常に表れてきます。
分岐点は、大きな舞台ではなく、日常のささいな部分でどんな風に話すのか、で決まるのです。
(中略)
単に口から出す言葉だけのテクニックをいくら学んだとしても、残念ながらうまくいきません。それは、
「あなたの話を聞いている人は、あなたの口から出る言葉だけではなく、総合的なものであなたの話を聞いているから」
です。(p.8-9)
話し方は、「心のあり方によって決まる」(p.233)
だから、話し方を変えていこうと思ったら、自分自身の内面を磨くことになります。
といっても、先に内面を磨こうとしても、なかなか難しかったり、果てしなかったりします。
なので、「話す」ことを使って、言葉使いなどにも意識的になりながら内面を磨く、というのは一石二鳥ではないかな、と思います。
相手の存在を尊重する(p.192)
スタンスにも関係するところです。
私自身、最近、コミュニケーションがどうもうまくいかないな、という時には、
「私は相手の立場や気持ちにどれくらい思いを馳せていただろうか?」という問いに立ち返ります。
人にはそれぞれの生きてきた人生があり、物事にはそれぞれの事情があります。
そこに私はどれだけリスペクトを払っていただろうか、と。
特に意識をして気をつけたいのは、何かやり方を変える提案をしたり、何かを指摘しなくてはならないとき。
例えば、正論を直球でぶつけて相手を傷つける、というのは、かつては剛腕直球投手だったと思います。今でもうっかりやってしまいがちなので本当に気をつけたいところです。
「正論」だからこそ、伝える時に注意が必要
正論ほど伝え方が難しく、使い方によっては相手を傷つけてしまう恐れのあるものはありません。
時に正しすぎる「正論」が、相手の逃げ場を塞いで追い込んでしまうこともあります。「正論」だからこそ、真正面から言わない配慮が必要なのです。
(中略)
正論を正論のままに言うことは、「あなたは間違っていますよ」と真正面から相手を斬りつけるようなもの。
相手も当然身構えて、臨戦体制を取ってきます。
そうではなくて、
「私も同じ間違いをしたことがあるのですが・・・」
「私も昔上司から怒られたのですが・・・」
と、相手と同じ目線に自分を置き、相手に寄り添いながら共感を得るような伝え方をしていく。
こうした繊細な配慮をできる人が、人間関係がスムーズにいく人です。
(中略)
どんな人にもその人の立場があり、その人の気持ちがあり、言い分があります。
そこを理解して相手の立場をできる限り守っていきながら、その人がわかるような伝え方をする。(p.156-161、話し方のコツ#24 「正論」は、相手と自分を同じ目線に揃えて言う)
何か提案する時も、何かを変える、ということは、それまでの何かを否定することにもなりかねません。
それが、「あなたのやっていることには意味がない」と取られてしまっては、傷つけるつもりがなかったとしても、相手が傷ついてしまいます。
「君はダメだ」は、相手の人格を否定してしまっていますし、「君のやっていることには意味がない」は、相手から行動の「意味」を奪ってしまっています。
人はどんなことであれ、自分が見出した「意味」に従って行動するものです。
行動の意味を奪うということは、相手の存在を否定するということ。これをしてしまうと、相手の自己肯定感はズタズタになり、何もできなくなってしまいます。
(中略)
ポイントは、まず、がんばって物事に取り組んでいた相手を労うこと、そして相手の意図に理解を示すことです。
「望ましくない事態になっているけれど、君のがんばりや意図は、私には通じているよ」と示すことです。
そしてもう1つ、「自分が相手に対してどれだけ敬意と期待を抱いているか」という視点を盛り込むことです。(p.192-196 話し方のコツ#29 叱る時こそ、相手への敬意と労いを忘れずに)
そして、もっと究極的には、
「(相手の方が)幸せでありますように」と祈りながら話す(p.229)
人には誰しも、話す相手の心を感じ取るセンサーのようなものがあります。
テクニックだけで人間関係がうまくいくほど、人間というものは簡単ではありません。
不思議なことですが、うまいとか下手とかは関係なく、話し手の心というのは必ず相手に伝わります。そしてこの違いは「フォーユー」なのか「フォーミー」なのか、で変わってくるのです。
相手のことを思って話していくと、必ず言葉がポンポン出てくるようになります。
そしていつの間にか悩んでいた相手が元気になり、あなたのことを必要とするようになります。
するとあなたの周りにたくさんの人が集まるようになり、いつの間にかあなたは充電器のような存在になります。(p.230、話し方のコツ#36 「幸せでありますように」と祈りながら話すと、すべてうまくいく)
これも、いたく共感!
すべては「聞くこと」から始まる(p.51)
これはもう、言わずもがな。
だけど、ついね、忘れてしまったりしますね。
コーチの仕事も、「引き出す」でも「質問する」でもなく、一番大事な仕事は「聴くこと」です。
「話し方において一番大切なことは、聞くことである」(p.45)
「まず、聞こう」(p.55)
本書でも触れられていますが、人間関係は、話し方・聴き方で劇的に変わる。
それは本当だと思います。
2022年、気持ちの良いコミュニケーション、気持ちの良い人間関係が広がっていきますように。
体に染み付くくらいまでに練習したいと思われた方は、ぜひ、CTIジャパンのコーアクティブ・コーチング、基礎コースでお待ちしています😉
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