ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

パパラギ(児童書版)

以前にも、この読書録で紹介したことのある「パパラギ」。

その児童書版です。

パパラギ (児童書版)」(岡崎照男 訳、早川世詩男 、2021年7月初版、学研プラス)

パパラギ

 

もともとの「パパラギ」の内容とメッセージはそのままに、

リメイクされて、生き生きとした可愛らしい絵で世界観が存分に描かれ、

ふりがなもふってあり、言葉遣いなども誰にでも読みやすくなっています。

 

南国の酋長がパパラギの国(ヨーロッパ)を訪問した見聞録。

私たちの生活様式について、お金について、時間について、職業について、とても素朴で真っ当な疑問を投げかけてくれます。

内容の詳細な紹介は、前回の読書録の方をご参照いただければと思います。

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帯の表の言葉は、

100年間愛され続けてきた歴史的名著。

100年後にも残したいメッセージ。

100万部を超える大ベストセラー。

帯の裏の言葉は、

100年前に、SDGsを先取りしていた、歴史的名著がビジュアル版で登場!

100冊のSDGsの本を読むより読むべき1冊!

最後の一文は、「確かに」と思います。

 

児童書版に込められた思いは訳者のあとがきに。

『パパラギ』を、もっと若い人たちに読んでもらうためにリメイクしました。最初にパパラギが書かれたのが第一次世界大戦直後なので、今は、それからほぼ百年後に当たります。

(中略)

そしてその本がまだ読まれているということは、社会の中の工業化の問題が百年後の今も解決されることなく、続いていることを意味します。その問題への批判精神が、私たちの心を打つのです。『パパラギ』は私たちに立ち止まることを、振り返ることを教えているように思います。(あとがき)

 

読む時期が違うと、響くところも違うのは読書の面白いところ。

今回この本で読み直して、今回は、所有に関するところに目が行きました。

 

ある男が、「私の頭は私の物だ」と言ったとする。そのとおりだ。それについて誰も文句は言えない。手もその人の物だ。

だが、それだけではなく、パパラギはこうも言う。

「この椰子は私の物だ」。

やしが彼の小屋の前に生えているからそう言うのだ。まるで椰子の木を自分で生やしたように。

椰子は、だれの物でもない。椰子は、自然の大きな力が作った物ではないか。(「私の・あなたの」)

 

熟せば、ヤシは、葉も実も落とす。

パパラギの生き方は、未熟なヤシが、葉も実もしっかり抱え込んでいるようなもの。

「それは私のだ!持っていっちゃいけない。食べちゃいけない!」

実が落ちなければ、どうやって新しい実がなる?

ヤシの木のほうが、パパラギよりもずっと賢い。

 

そう、私たち、特に”先進国”と言われる国に住む人たちが、自分たち人間を"賢い"と思っているとしたら、それ自体も傲慢な話なのだと思います。

 

児童書版でも、文庫本でも、お好きな方でどうぞ。

多くの人に届きますように。

 

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パパラギ

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