先日、滞在していた穂高養生園の「木と人カフェ」に置いてあり、読みました。
「翻訳できない世界のことば」(エラ・フランシス・サンダース 作、前田まゆみ 訳、2016年4月諸藩、創元社)
(原題「LOST IN TRANSLATION」 Ella Frances Snaders, 2014)
外国語を知るのはとても好きです。
AIが発展しても、同時通訳があったとしても、やっぱり自分で知った時の喜びというものはある。
それは、言葉には文化そのものだからではないかな、と思います。
だから、その国特有の言葉が発展するし、それはその文化がないところでは一語でどんぴしゃ訳しにくいものになる。
本書は、さまざまな国に住んだことのある20代のイラストレーターが、拾い集めてきた言葉たち。
知識も得られますが、それ以上に、可愛らしい絵本としての価値を感じます。
いろんな国に行った経験があれば、「わかる〜!」と思ってより一層楽しめると思います。
行ったことない国々については、想像が膨らみます。
笑ってしまったのはこのあたり。
Pisang Zapra(ピサンザプラ、マレー語)
バナナを食べるときの所要時間。(p.23)
だいたい2分くらいだそうです。
Gurfa(グルファ、アラビア語)
片方の手の平にのせられるだけの水の量。(p.51)
水がとっても貴重そう。。。
Poronkusema(ポロンクセマ、フィンランド語)
トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離。(p.69)
だいたい7.5kmだそうです。
化粧品のクリームとかで「パール大」と言ったりするのは、あれは、日本だけなんでしょうか。世界共通なんでしょうか。
なるほどねぇ、と思ったのはこのあたり。
Razliubit(ラズリュビッチ、ロシア語)
恋がさめ、ほろにがい気持ちになる。(p.35)
ロシアは情熱的な国。恋愛もオープンで、冷めた愛を引き延ばしたりすることもない。離婚率も高めです。だからこそある言葉だろうと思いました。
好きだったのはこのあたり。
Vacilando(ヴァシランド、スペイン語)
どこへ行くかよりも、どんな経験をするかということを重視した旅をする。(p.41)
そうだったのかー、はこのあたり。
Saudade(サウダージ、ポルトガル語)
心の中になんとなくずっと持ち続けている、存在しないものへの渇望や、または、愛し失った人やものへの郷愁。(p.101)
ドイツ語では、私の好きな「Gemütlich」がなかったのは残念。
ドイツ人と話すと、これは他言語に訳せない、言ったりします。
オランダ語のこの言葉がきっと近いかな、と思いました。
Gezellig(ヘゼリヒ、オランダ語)
単に居心地がよいだけでなくて、ポジティブであたたかい感情。物理的に快いという以上の「心」が快い感覚。たとえば、愛する人と共に時をすごすような。(p.15)
ちなみに、日本語でピックされていたのは、「BOKETTO(ボケッと)」「WABI - SABI(侘び寂び)」「TSUNDOKU(積ん読)」「KOMOREBI(木漏れ日)」。
どう訳されているか、どんな絵なのかは、ぜひ本で確かめてください!
この記事は、こんな人が書いています。
お気に召す記事がありましたら、ぜひシェア頂ければ嬉しいです。また、もしこのブログを読んで、ここで紹介されている本を購入しようと思われた際は、ここみち書店(神保町PASSAGEbis!内)、もしくは、このブログ内のamazonへのリンクを経由して購入頂けると幸いです。私にとって皆様が本に出会うことのお役に立ったことを知る機会となり、励みになります。
作者の方:
ことわざ版もあるようです。