先日滞在した穂高養生園に置いてあり、久しぶりに読みました。
「葉っぱのフレディ―いのちの旅」(レオ・パスカーリア 作、1998年、童話屋)
(原題:The Fall of Freddie the Leaf:A Story of Life for All Ages, Leo Buscaglia, 1982年)
「いのち」について、「生きること」と「死ぬこと」について、
こんなにやさしく、こんなにあたたかく、こんなにせつなく教えることができる本って他にあるでしょうか。
若い葉っぱ「フレディ」と、少しだけ先に生きていて物知りな葉っぱ「ダニエル」との会話。
いつ読んでも、胸がいっぱいになります。
こども向けの本ではありますが、大人の方が染みるんじゃないかと思います。
いっしょに生まれた 同じ木の 同じ枝の どれも同じ葉っぱなのに どうしてちがう色になるのか フレディにはふしぎでした。
「それはね」とダニエルが言いました。「生まれたときは同じ色でも いる場所がちがえば 太陽に向く角度がちがう。風の通り具合もちがう。月の光 星明かり 一日の気温 なにひとつ同じ経験はないんだ。だから紅葉するときは みんなちがう色に変わってしまうのさ。」
「いつかは死ぬさ。でも“いのち”は永遠に生きているのだよ。」とダニエルは答えました。
葉っぱも死ぬ 木も死ぬ。そうなると春に生まれて冬に死んでしまうフレディの一生にはどういう意味があるというのでしょう。
「ねえ ダニエル。ぼくは生まれてきてよかったのだろうか。」とフレディはたずねました。ダニエルは深くうなずきました。
「ぼくらは 春から冬までの間 ほんとうによく働いたし よく遊んだね。まわりには月や太陽や星がいた。雨や風もいた。人間に木かげを作ったり 秋には鮮やかな紅葉してみんなの目を楽しませたりもしたよね。それはどんなに 楽しかったことだろう。それはどんなに 幸せなことだっただろう。」
どれだけ成功していても、していなくても、
どれだけお金を稼いでいても、そうでなくても、
最期の瞬間、こう感じながら目を閉じていければ、それはきっといい人生だったのではないかと思います。
詰まるところ、みんな、こういう終わり方をしたくて、日々頑張って生きているのかもしれません。
うまく行ってるはずなのに「何となく満たされない」というときは、いつの間にかこのことを忘れて、成功や稼ぐこと自体が目的になってしまっているときなのかもしれません。
私がコーチングでやっていることも、すべての人にいつか訪れるその瞬間にこう感じられるように、「今」を思い切り生きるということをお手伝いしているのだな、と思います。
本棚がある場所、特にさまざまな年齢が集う場所には、ぜひ置いてほしい1冊です。
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原書:
作者の別の本:
朗読や音楽などがあるようです。