会議についていろいろと考えていて、読みました。
2005年の本ですが、今読んでも有益です。
ということは、15年経っても世の中の会議はあまり進化していないということなのか。
当時よりは、進化していてほしい。
個人的には、2005年当時にこの本の考え方は、日本ではとても進んでいたのではないかと思います。
それを体験した人は確かに「すごい!」と言いたくなるように。
「すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!」 (大橋禅太郎氏著、大和書房、2005年6月初版)
著者・大橋さんは、投資銀行、石油探査現場の仕事を経て26歳で日本で起業、28歳でシリコンバレーで起業(1999年)なさった方。
本書は、著者が米国で起業したGAZOOBA(ガズーバ)社で物事がうまくいかなくなっていた時に、人の勧めで起用したコーチ、ハワード・ゴールドマン氏の会議の手法を解き明かしたものです。
表紙から読むと、著者が体験したすごい会議の体験物語、
裏表紙から読むと、実際にこの会議の手法を取り入れてみるためのワークブック「付録・すごい会議のやり方」になっています。
ページ数で見れば薄い本ですが(物語の方だけで約100ページ、付録は50ページ)、内容は濃いと思います。
「すごい会議」で得られるもの
ガズーバでの会議は段階を追って進んで行きますが、その過程で著者たちが手に入れたものは以下です。
これによって僕らは、
を手に入れた。(p.94-95)
- 経営の中心となるメンバーが緊張感を持ってそろった
- 人の意見を気にすることなく、それを発表するしくみを手に入れた
- 参加させられているという感じから、「なにかやってやろう」という気分
- 前向きな雰囲気にする
- 達成しようとしていることの本当の障害が前向きな形で明らかになる
- なんかやってやろうという気分になっている
- 共有共感の持てる短期的で明確な目標
- 目標の達成の担当分野の明確化
- 目標達成のための計画
- 計画の進行管理方法
- 目標の達成の障害となることにシステマティックにアプローチし、討議し、解決する方法
また、この会議を経験する前後の違いに驚いた投資家から「「お前らになにが起こったんだ?」(今までと違って、イケてるじゃん!)」(p.108)と言われたときに、自分たち自身で自社のビフォー・アフターをこんな風にもふりかえっています。
僕もアンディーも、なにが起こったかよくわかっていた。
会議での僕らの話し方であり、聞き方が変わっていた。
問題の解決のしかたが変わっていた。
意思決定の方法が明確になっていた。
短期的で明確で共有共感のできる目標があった。
各自がなにをするのかがはっきりわかっていた。
命令権を持たない部署への無茶なリクエストができるようになっていた。
約束が尊重されるようになっていた。
会議という場所でスタートしたのだが、会社全体が短期的に進化するという体験をしたのだ。(p.108)
問題は「どのようにすれば」に置き換える
本書で書かれていることは、難易度に差こそあれ、どれも、明日からの会議で活用できると思います。
その中でも簡単かつパワフルだと思うのは、問題を「どのようにすれば〜〜か?」の疑問形に置き換えること。
「現行の製品が売れていない」→「どのようにすれば製品が売れるか」(p.59)
「会社が面白くない」→「どのようにすれば会社が面白くなるだろうか」(付録p.23)
問題が起きているとき、最もよくありがちなのは、「なぜそうなってしまったか」「なぜそうなっているか」の原因を究明しようとすること。
これを分析してペラペラと解説してくれる人は、賢そうに見えるかもしれません。
でもそれは、実は、あまり難しいことじゃない。
さらに言えば、それをしてもどこにもいかない。
問題は起きてしまった。起きている。これは、現実。
私たちが意識を向けるべきは、ではここからどうしようか、ということ。
私もコーチングでは、意識的に「なぜ」という問いは避けています。
どうしたらそうなるだろう?と考えることは、その問題について、客観的にいる立場を捨てて、自分自身の問題として取り組むことでもあります。
製品を売るのは営業の仕事、会社を面白くするのは経営者の仕事、ではありません。
その会社で起きている問題は、全社の問題。
製造チームも、新入社員も、その問題について「どのようにすれば」を考えて行動していく必要があります。
書いてから発表する
これはとても面白いなと思いました。
例えば、
「今日の会議に何を期待しているか」から始まり、
上記の「どうすれば・・・」も、
「言いたいけれども言えていない問題は何か」といった問いも、
全員で議論する前に、まずは各自で書いてみます。
そして、それを順々に淡々と読み上げていく。
これによる最大のメリットは、「書いている時は、他の参加者の意見が見えない・聞こえない」ということ。
本書では、これにより「ほかの人に左右されない意見を発表すること」(付録p.16)ができるとありますが、
それに加えて、各自も、より自分自身で考える力がつき、会議に主体的に参加することにも繋がると思います。
会議のやり方が有益なのはもちろんですが、個人的には、この著者の方の破天荒なキャリア・人生が面白いな思って読みました。
就職活動は履歴書に「初年度年収500万円希望」と書き、返事があった外資系通信企業、マッキンゼー、外資系投資銀行に面接に行くとか、
石油探査の会社で社長になって3億円稼ごう、とか、
社長になれないなら2年で1000万円貯めてスタートアップを始めよう、とか、
コネもないけどシリコンバレーなるところにセールスに行ってみよう、とか、
誰か来るかわからないけどアメリカでセミナーをやって出張費に充てよう、とか。
ハワード・ゴールドマン氏に出会って、すごい会議のやり方を知ったとありますけれども、先述の、原因追求ではなく「どうしたら・・・・」という発想は、もともとお持ちであるように思いました。
立ち上げた会社のサービス開発の話や、M&Aで身売りする話が夢で終わる話なども、スタートアップのリアルを知る話として、面白いと思います。
会議は、複数の人の時間を使う、ある意味とても高額なもの。
せっかく時間を使うならば、参加者の皆が意義を感じ、その時間が楽しみになるような会議をしていきたいなと思います。
この会議を開発した、ハワード・ゴールドマン氏の著書:
原本はこちらかな:

Choose What Works: The Proven Secrets to Professional Greatness
- 作者:Goldman, Howard
- 発売日: 2004/01/01
- メディア: ハードカバー
起業時代のお話:
会議に関する本はいろいろとあるのですね。
その他参考書籍:
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