コーチングを始めて自分に起きた変化の一つは、映画やドラマ、観劇、読書などの幅が広がったこと。
自分で意図的に広げる時もありますし、クライアントさんがセッション中に出された話題を糸口にクライアントさんの世界を知ってみようと、新しいものに触れることもあります。
後者の一例がこちら。自分の趣味の範囲では、きっと読まなかった。
仲間内に漫画好きの人がいるので、貸してもらって、全23巻、読破しました。
「鬼滅の刃」(吾峠呼世晴 氏 著、2016年6月〜2020年12月初版、集英社)
この読書録もついに漫画が登場。
いよいよ何でもありになってきましたが、感じたところをメモ。
個々のキャラクター設定やストーリーなど、とてもよく考えられていてすごいなと思いました。
鬼になる経緯、鬼それぞれの特性も、人間の心理をとてもよくついているなぁと。
表面に出てくる部分の下に、描かれ切っていない物語があることも随所に伺えて、それぞれの登場人物について十分に派生の物語を描くことができそうです。
で、読みながら感じたことは、「コーチって、鬼殺隊だなぁ」。
コーアクティブ®︎・コーチングでは、人間について、「人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である(People are Naturally Creative, Resourceful and Whole(NCRW)」®︎と見ています。
この本来の姿でいる時、人はとても大きい存在で、本人すら驚くほどの能力と可能性を持っています。
逆に、そうではない状態のときは、サボタージュに絡めとられている状態。
私なりに表現すると、「怖れに乗っ取られている」状態。
本作でいうところの鬼は、この、怖れあるいはサボタージュに完全に乗っ取られている状態の時だなと思います。
鬼もかつては人間。
人を食う鬼にまでならずとも、鬼になりきっていなくとも、誰の中にも鬼はいる。
光と闇は表裏一体。
誰だって、ふとした隙に、自分の中の鬼が引っ張り出される。
つらいことがあった時、産屋敷に出会えば剣士に、鬼舞辻に出会えば鬼になる。
本作の世界観を借りて、コーチである自分の仕事の一部を喩えていうなら、
クライアントさんの言動が怖れから生じている時は、
鬼に乗っ取られているのだということに気づいてもらい、
クライアントの中にいる鬼を一緒に成仏させ、
本来のご自分を取り戻していただくこと、と言えるかと。
実際のコーチングの場面では、なかなか現れなかったサボタージュを見つけた時に、
「あ、これか!」と、
炭治郎が鬼の急所につながる糸を見つけた時のような感じになることがあります。
で、いざ、鬼の首を切りに行こうとすると、スパンといくこともあるけれども、刃は届いたはずなのに切れないということもあります。
手を変え品を変えサボタージュと対峙するのは、いろんな呼吸でいろんな技を繰り出す感じと重なるかも。
クライアントさん本人も鬼に乗っ取られていることに苦しみ悲しんでいるのであればまだ幸い、
最も手強いと感じるのは、もはや鬼と一体化して、その状態が本来の自分の姿だと思い込んでいらっしゃるような場合です。
さらに、サボタージュの中でも、いよいよラスボス感が強いものに遭遇すると、ものすごい抵抗があったりして、断末魔の叫びのようなものが聴こえることがあります。
私のコーチ仲間の1人は、エゴが死ぬたびに新たな自分に生まれ変わる、と表現するのですが、本当にそうだな、と。
自分の中の鬼を殺して、生まれ変わる。
コーチはそのお手伝いをしているなとも思います。
コーチとして仕事している訳ではない日常の身の回りの人とのやり取りにおいても、
鬼舞辻がやってこないように、あるいは、私たちの中の鬼が人を食って増強されないように、
太陽を照らしていたいなとも思います。
鬼殺隊の剣士が鍛錬するように、コーチも、スキルをトレーニングし、それ以上に、自分自身のBeing(あり方)を整え、開発し、その中では自分の中の怖れとも向き合います。
難しい実戦を積むほどに経験値が上がるのもまた同様。
第22巻にあった作者の言葉が、妙に響いたので、メモ。
できることと、使いこなすこと、
極めることはそれぞれ違います。
繰り返し練習して決まった動作が
”できる”ようになったら、それをどんな体勢や
状況でも適材適所で出せるようになるのが
”使いこなす”ことです。
さらにその使いこなしている技を、
他の誰よりも速く強く、常に最大限の力で出せるよう
練り上げることが”極める”ことです。(第22巻、第193話)
本体まで殺したくないので、珠世さんのように、人間に戻す薬を調合してお届けする方がいいな、とか、
斬り殺すのではなく、癒すことで成仏させる世界観の方が好きだな、とか、
いろいろ思うところはありますが。
大好きなスターウォーズもそうなのですが、そろそろ、正義 vs 悪、勧善懲悪の戦いではなく、闇をも癒すスタイルの物語も欲しくなってきます。
それだとやっぱり物語としては面白くなくなってしまうでしょうか。
それにしても、
怖いものが苦手なので、正直、白黒の漫画で幸い。
第1巻読んだ後などは、暗くなってから外には出たくなくなりました。
周りの友達は何人も映画館で観て号泣したと言っていますが、これをアニメや映画で見るだなんて・・・。
色や音楽があったらなお怖そうでとてもとても・・・。
何はともあれ、また新しいものに出会わせて頂いて、クライアントさんに感謝です。
こんなに一気に漫画を読んだのは久しぶりでした。
人は本来は賢人であり、そうでない時は「サボタージュに乗っ取られている」という概念については、本書がとてもわかりやすいと思います。
自分の中にどんな鬼がいるかは、こちらの本もオススメ。
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