ここみち読書録

心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

ザ・ステーク コーアクティブ・リーダーへの旅

正直なところ、紹介すべきか、せざるべきか、悩ましい本です。

ザ・ステーク コーアクティブ・リーダーへの旅(原題:The Stake: The Making of Leaders。Henry Kimsey-House & David Skibbins 著。CTIジャパン訳)

全ての方にお勧めしたい一冊なのですが、今すぐにぜひ読んで!というより、まずコーアクティブ・リーダーシップ・プログラムに行ってきて!そしてそれから是非読んで!というのが私の個人的な意見です。

 

ザ・ステーク コーアクティブ・リーダーへの旅

 

この本は、CTI(Coaches Training Institute)が提供しているコーアクティブ・リーダーシップ・プログラムで学ぶ内容について書かれたものです。本当のプログラム自体は、全体で約10ヶ月にわたり、その中に4回のリトリート(合宿形式で、日常から離れて自分を見つめなおす時間)があります。参加者は最大24人。2人のリーダーとアシスタントの方々が学びの旅にいざなってくれます。リトリート中はこのメンバーでとても濃い時間を過ごし、リトリート以外はそれぞれの日常の中で学びを実践します。ひたすら体験学習と実践からなるこのプログラムで得たものはどれだけ語っても語り尽くせません。

プログラムの内容には守秘義務があるので、本来は修了生からも中身を教えてもらうことはできません。そんな中でこの本が出たものですから、その時はとても驚きました。ちょうど私が参加している最中に刊行されたので、読んでからリトリートに行くこともできましたが、私自身は事前に読まないことを選択し、それまでの参加者がそうであったように、何も知らずに毎度のリトリートに臨みました。普段何かと計画しがちで、すぐに理論に走る私には、何が起こるかわからないところに飛び込む、そこからやってみる、頭では全然わからないのだけど体が何かを確実に学んでいる、それ自体が新鮮で面白く、私にはこの選択でよかったと思っています。

 

ということで、私自身もこの読書ブログで、この本の内容を紹介しようとは思いません。是非、本書を読む前にプログラムに参加して、驚きと共に体得してほしいので。

ここでは、このプログラムを経て私自身にどんな変化が起きたのかを紹介したいと思います。お金も時間もエネルギーもかかることは間違いありませんが、人生を通して活かせる知恵と、生涯続く信頼できる仲間を得ることができて、こんなに費用対効果が高いプログラムを他に知りません。この記事が、このプログラムへ参加しようという気持ちを後押しするものとなればとても嬉しいです。

 

注意:下記はいずれも「以前の自分と比較して」という趣旨で書いています。まさか今も完璧にできるはずはなく、いろいろ葛藤したり、失敗を繰り返しながら、試行錯誤中です。

 

プログラムに参加して気づいたこと、得たもの、起きた変化(trottolinaの場合)

  • 自分自身で、自分のことをとても小さい存在と見ていることに気づいた。自分の本来の大きさを感じることができるようになった。そういう状態でいることの気持ち良さを体感した。
  • 自分の存在に自信を持てるようになった。
  • 自分の内側にある願いや喜びからくる「うずき」に従って行動できるようになった。
  • 思考だけではなく、直感、体の感覚からくるものを信じて活かせるようになった。
  • 自分が他人にどう見えているのかがわかった(これを受け入れるのは痛かった・・・)。
  • 自分で気づいていない自分の魅力を教えてもらった。
  • 人のことを全然信用していなかった自分に気がついた。
  • 周囲の人や世の中について沢山の思い込みをもって生活していること、それが私の世界を狭くしていることに気づいた。
  • 人と本当に深いところでつながることの喜びを知った。
  • 自分の持っているリソースが使われることの喜びを知った。
  • お互いが100%で関わることで、お互いが自分自身でも知らないようなリソースが引き出されること、ひとりでは「絶対無理」と思うようなこともふたりならできてしまう、その面白さとダイナミックさを知った。
  • 「スペース」というものに意識が向くようになった。
  • 目の前の障害物に囚われるのではなく、ありたい姿に意識を向けることができるようになった。そして、それは実現する。(この経験をしてから、「出現する未来」(Presence)という本が理解できるようになった。)
  • 場の力を信じて、その場から創るようになった。
  • ステークを握ること、意図することの大切さを知った。
  • 自分が普段、無意識に放っているインパクトに気づかされた。また、自分の在り方を変えることが場に影響することも知った。
  • 自分のいつもの枠を超えてみることの面白さを知った。これはけっこうやみつきになる。
  • カオスを楽しめるようになった。
  • 失敗を怖れなくなった。
  • 失敗してからも立ち直りが早くなった。
  • リーダーシップを取ることが重荷を背負うような心理的負担ではなくなった。楽しみながらリーダーシップを取れるようになった。
  • ↑に書いたような状態になっていないとき、それに自分で気づくことができるようになった。
  • 今までよりも更に楽に生きていけるようになった。
  • 喜びも悲しみも分かち合える、一生続く仲間ができた(30代〜60代)。

 

あまりに抽象的で意味不明かもしれません。

 

もう少し具体的にしてみるとすると、例えばわかりやすく職場を例にとってみると、こんな変化がありました。

 

プログラムに参加してからの職場での変化(trottolinaの場合)

  • 失敗を怖れなくなった。
  • 決断ができるようになった。完全な情報が整わない中でも、その場その場でベストと信じる判断をするようになった。
  • それまでよりも更に主体的に業務に関わるようになった。時に自分の仕事の範疇を超えている場合でも、案件や状況にとって必要なことであれば自分の領域を超えて関わるようになった。
  • 自分で自分の意見を持つ(ポジションを取る)ようになった。
  • 準備しすぎなくなった(準備万端でなくてもやってみる、よくわからないけどまずは人に会って話を聞いてみる、等ができるようになった)。
  • 会議などで、その場の空気・エネルギーを感じて、臨機応変な対応ができるようになった。
  • 一人で頑張りすぎず、周囲に助けを求めることができるようになった。
  • 初めてのお取引先と会うときでも、怖れが減った。
  • お取引先との会議で、より本質的な話ができるようになった。
  • 社内外で、関係性は維持したまま、対立を怖れず、より深い議論ができるようになった。
  • 前言撤回(=自分の過去の判断の間違いを認め、軌道修正の妥当性・必要性を説明すること)に躊躇がなくなった。
  • やりたいこと、必要なことのためには、他者の巻き込みができるようになった。
  • 何か問題が起きた時に、誰かのせいにするのではなく、システムの課題としてとらえるようになった。
  • ビジネスはいつも白黒つけられるものではない、流れがある、などのことがわかるようになり、混沌にも耐えられるようになった。
  • 膨大な仕事量、経験ない任務、ストレスフルな状況でも、大きくメンタルダウンすることないリジリエンスが身についた。
  • 「非常に大事な論点だ」と思うことについては、相手が自分とは異なる意見を持つ上位者であったとしても、自分の意見を言うことができるようになった。
  • お取引先や上位者の発言の意図がよくわからないときや、その場に共通の認識が形成されていないと思われるときは、発言者が、あるいは発言していない人が、意図しているところを確認できるようになった(その結果、誤解による無駄な仕事などが減った)。
  • 対上司、対部下、対顧客、プライベート、いつも同じ人間でいられるようになった。
  • 効果的なリーダーシップが発揮できていないとき、自分のペースが乱れているとき、その状態の自分に気づくようになり、意識的に立て直しができるようになった。

 

私がこのコーアクティブ・リーダーシップというスタイルにとても惹かれるのは、これが本当にエコでダイナミックだと感じるからです。

本当にその人の願いや喜びからくるうずきがあるところならば、誰にも頼まれなくったって、本来は勝手に動き出すものです。そういうとき、その人はとてもクリエイティブです。力強いエネルギーを発し、周囲の人は自然と巻き込まれ、物事が動いていきます。私たちの社会はこのエネルギーをもっと使うことができるはずです。今の現実の世の中では、人に好かれようとして、賞賛されようとして、自分の正しさを証明しようとして、無意識に、偽物のうずきから行動したり、あるいは本物のうずきを止めたりすることが沢山おきています。これはエネルギーのとても大きなロスになっていると感じます。

また、このスタイルは人間の人間らしいところを認めています。諸行無常も織り込んでいます。失敗してもいい。わからないこともある。気が変わることだってある。自分のせいでなくたって、事情が変わることだってある。そこからまた創ればいい。それは、完璧を目指そうとして、全てを予測して枝葉末節なところまで万全に備えようとして、全方位的に本来必要な範囲を超えてエネルギーを割くよりも、はるかにエコでダイナミックです。そして、エネルギーの向けどころがわかるということは、絶対に外してはいけないところは外さないということにも繋がるのではないかと思います。

そして、喜びから生きる人、精一杯人間を生きている人は美しい。

こういうことを実体験でわかる人が増えていけば、もっと面白くて生きやすくて美しい社会になるのではないかと期待して、このプログラムを多くの人が体験することを願っています。

 

 とはいえ、今、このプログラムは日本では1年に2本しか走っていないので(約半年ごとにスタートしています)、この体験をする人が増えるペースはとてもゆっくりです。その意味で、本書でコーアクティブ・リーダーシップのエッセンスが伝わるのはとても有益と思います。ただ、確実に言えることは、プログラムではこの本の何倍も、何十倍もの学びがあります。先に本を読まれる方は、本書を読んだだけでわかったつもりにならず、是非プログラム自体にも飛び込んで体で学んでみる、そしてこの本で何度でも繰り返し思い出して学び直す、そんな流れをお勧めしたいです。

 

私自身も、修了して1年半以上経った今に本書をようやく読んでみて、また学び直しました。素晴らしい復習になったことはもちろん、当時、十分に理解できていなかったことも「なるほどそういうことだったのか」とやっとわかることもあり、付箋がいっぱいつきました。

 

中身は紹介しないと書きましたが、一箇所だけ。エピローグより。

 このプログラムを修了する人たちに見られるもっとも根本的な変化は、ただ現状に甘んじていることが格段に難しくなるということである。彼らが置かれた世界でただ耐え忍んでいることは、もはや受け入れ難いことなのだ。自分たちの言動によって、そしてもっとも重要なことは、自分たちの意図と選択によって、世界にインパクトを与えずにはいられなくなる。

 それぞれの世界ですでに"リーダー"である人たちが、より意図的で、力強く、影響力のある存在となっているのを我々は知っている。また、そうしたリーダーたちは、日常をより楽しみ、自分たちや自分たちを取り巻く世界に対して、より責任ある態度をとっている。責任転嫁や自己防衛を激しく拒絶するようになる。

 以前は自らをリーダーだとまったく思っていなかった人たちが"目的を持って"自分の人生を生き始める姿も我々は見ている。以前はリーダーシップなどほとんど、もしくは、まったくなかった状況において、リーダーとして立ち、自分たちや自分たちのいる世界を驚かせているのだ。

 我々はまた、彼らが家庭の戻り、自らのインパクトに応答し、何事も家族の誰かのせいにしない姿も見ている。時に大きなリスクを冒していると思いながらも、新しい目的とその目的のために立ち上がる意志を持って、職場に戻っていくリーダーたちを見ている。彼らの勇気と信念がまさに必要とされ、求められているのだ。

 ある状況を本質的に変化させるための明確な地図や、状況を変容させる知識がなくとも、勇気とともに前に出るリーダーたちを私たちは見ている。とにかく彼らは前に出て、歩み続ける。失敗する時もあれば、成功する時もある。しかし、彼らの目的が裏切られることは決してなく、ビジョンは真実であり続ける。"何があろうとも全力で進む"態度をもってリードする時、その行く手に宇宙(ユニバース)はありとあらゆる試練を与えてくる。それでもなお、彼らはステークと人生の目的に忠実であり続けるのだ。

 見向きもされなかったり、支援が得られなかったりする時でさえ、彼らはステークにアラインし続けながら前進する。ゴールを達成し、成果を上げる。あるいは予想とはまったく異なる、時には予想した以上の結果を手にする。それからまた、彼らは新しいゴールを定め、成し遂げるべき新しい成果を決め、そこからぶれない。成果がどんなものになろうとも、彼らは自らの勝利を収めるのだ。なぜなら、彼らはある特定のゴールや成果よりもはるかに壮大な一つの目的に向かって進んでいるからだ。

 こうしたリーダーになるために、コーアクティブ・リーダーシップの原則を使ってほしい。そしてこのような考え方に触れ、あなたの鼓動が高まるなら、CTIのリーダーシップ・プログラムに来てほしい。世界はあなたの偉大なリーダーシップを必要としているのだから。(p.327-328)

 

喜びから生きるリーダーが目覚めることを願って。

 

ザ・ステーク コーアクティブ・リーダーへの旅

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The Stake: The Making of Leaders (English Edition)

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