2025年に読んでとてもよかった本!
「生きる言葉」(俵万智 著、新潮社、2025年4月初版)
かの有名なサラダ記念日の一首で知られる、現代歌人・俵万智さん。
これまで、個展で作品に触れることはあったものの、
そして、神保町の共同書店PASSAGEで棚主になってからは、勝手に親近感を覚えていたものの(俵さんも棚主をされています)、
ご著書を読むのはこれが初めて。
こんなに雄弁な方だったとは!
美しく、無駄のない、けれども余白のある素晴らしい文章で、日本語愛の溢れるままに、言葉について語ってくださっています。
新書なので読みやすい分量。なのに、とても濃厚な1冊。
日頃は、短歌という31字で表現している人の奥には、これだけの思いや考えや言葉があったんだ、ということに感激しました。
そこから選び抜かれた言葉だから、人の心に響くんだなぁ、と今更ながらに腹落ち。
改めて、俳句や短歌の世界の面白さ、奥深さを知るきっかけにもなりました。
読めばきっと、言葉に対する感度が磨かれます。
それは日常生活や他者との関係性を豊かにするでしょうし、
ビジネスの世界でも、リーダーシップを取ろうとする方には言葉は必ずついて回るもの。
日本語を使う方なら、どなたにとっても得るものがあると思います。
X(旧Twitter)でもよく発信されていて、一般の投稿者とも垣根低く接していらっしゃる印象だったのですが、過去に炎上騒ぎがあったとは知りませんでした。(本書で知りました。)
それでもなお、発信し続ける姿勢はすごいなぁと思います。
そこには、言葉に対する思いや、現代社会で言葉を扱う私たちへの願いのようなものも感じます。
それが、本書を書かせたのではないかな、とも思いました。
いま、言葉の時代だなと思う。写真や動画が、かつてないほど手軽に撮れて発信できるので、「いや、言葉よりも画像の時代でしょ」と思う人が多いかもしれない。(中略)
けれど、コミュニケーションということに関しては、時代の中で言葉の比重は増しているように思う。たとえば、生まれ育った村で一生を過ごすとしたら、周囲の人とのやり取りは、言葉以外のものがたっぷり助けてくれるだろう。なんなら、笑顔を見せるだけで、こぶしを突き上げるだけで、いつもと違う服を着ただけで、あなたの気持ちを伝えられるかもしれない。(中略)
「村で一生」は極端な例だが、このような「個人の言葉の背景を理解してもらえる環境ではないところで、多くのコミュニケーションをしていかなければならないのが現代社会だ。家族や友人、恋人同士などはこの限りではないけれど、行動範囲がグンと広がり、ネットでのやり取りが日常になっている今、背景抜きの言葉をつかいこなす力は、非常に重要だ。それは、生きる力と言ってもいい。(p.3-4、はじめに)
言葉で、すべては語れない。
けれども、言葉は生きる力。
心に響く言葉とはどういうものか、X(Twitter)のクソリプはなぜクソリプなのか、ラップと短歌の共通点は何か、AI時代に私たちの言葉はどうなっていくのか。
これからの時代を、たくましく、やさしく、豊かに生きるために、おすすめです。
なお、PASSAGEの俵万智さんご本人の棚に置いてある本は、すべてご本人のサイン入りです。達筆!
読みたくなる本:
角川武蔵野ミュージアムでの個展(2021年):
PASSAGEご来店の際は、「ここみち書店」にもどうぞお立ち寄りください。
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