今度、ハリー・ポッターのミュージカルを見に行くことになり、事前に本は読んでおいたほうが良いと聞き、そうしたらハリー・ポッターシリーズの大ファンかつ親切な仕事仲間が全巻貸してくれて(しかも単行本で!)、読み始めました。
(彼女によると、ミュージカルの前に、本→映画→本を経ていくのが推奨とのことです...)
まずは1巻目「ハリー・ポッターと賢者の石: Harry Potter and the Philosopher's Stone」(J.K. ローリング作、 松岡 祐子 訳、静山社、1999年12月初版)
なんでそんなに人気なのかなぁ、くらいに思っておりましたが、確かに、面白かった!昨年夏に読んだ「ソフィーの世界」以来、没入しました。
ふりがなもふってあるくらいで、子どもが読めるようになっていますが、大人が読んでもとっても面白かったです。
魔法使いが住む世界は、想像することしかできませんが、その想像が湧き上がってくるかのような描写で、自分自身も冒険しているような感覚になれました。
ネタバレするので、すべては内容は書けませんが、最終章には、響く言葉もありました。
そのごく一部。
ものには必ず適切な名前を使いなさい。名前を恐れていると、そのもの自身に対する恐れも大きくなる。(p.438)
また、あとがき(ハリーへのラブレター)を読んで、この物語が、本国イギリスだけでなく日本でもこんなに愛されているのは、この本の出版社である静山社の経営者かつ本書の翻訳者でもある松岡祐子さんが引き寄せたご縁と熱意と想いによるところも大きいんだろうなぁと思いました。
亡くなられたご主人の出版社。想いを継ぐために、同時通訳の仕事をしながら、出版社をたたまずに続けることに。
そんな中で友人を訪ねたイギリスでの原作との出会い。幸いにもまだ他の出版社は版権を取っていなかった。
「物語はここから始まる」...ハリー・ポッター物語の第一章の書き出しさながらに、私のハリー・ポッター物語もここから始まった。『ハリー・ポッターと賢者の石』を徹夜で読んだ次の日、私はイギリスの出版社に電話をかけ、著者J・K・ローリングの代理人に連絡をとった。それからは必死で私の情熱を訴えつづけた。こんなに夢中になった本はない...、翻訳したい...、この感動を文字にして、多くの日本の読者にハリー・ポッターのすばらしさを伝えたい...、真摯な心からの願いを二カ月にわたって訴えつづけた。それが最初の魔法を生んだ。十二月八日、代理人からEメールが届いた。
「著者と話した。私たちはあなたに決めた。よろしく頼む」(p.459)
「超」小出版社が世界的な「超」人気の本を出版することになった。そして、次の魔法が始まった。編集者、翻訳者、書店、マスコミ関係者、出版業界人と次々に支援してくれる人が現れたのだ。よい本を出そう、ハリー・ポッター全七巻が古典として残るような本にしよう...自然発生的にプロジェクトチームが組まれた。(p.459)
原作者ローリングさんのことや全7巻が誕生していく物語もまた、惹きつけられました。
私の大好きなスターウォーズの誕生の物語も思い出します。
ローリングの作品の魅力は、壮大なスケールの構想の中にちりばめられた繊細なディテールである。二十五歳のとき、ローリングが遅れた電車を待っていると、フッとハリーのイメージが湧いてきたそうだ。それからはそのイメージの肉付けのために文献を調べ、カードで整理し、執筆を始めるまで五年を費やしたという。一九九七年、ハリー・ポッターシリーズの第一巻がイギリスで出版されたが、実は最初に書き終えたのが第七巻の最終章だった。全七巻が二〇〇三年に完成するまで、最後の章は秘密の金庫にしっかりと隠してあるらしい。
「児童書を書いたと言う意識はない、自分が楽しめる本を書いた」と言う三十四歳のローリングは、いまや子供たちの英雄であるばかりでなく、大人をも夢中にさせる作家だ。第一巻の『ハリー・ポッターと賢者の石』を書いているときは、生活保護を受けるシングルマザーで、エディンバラのコーヒー店の片隅でコーヒー一杯を飲むお金しかなく、幼い子供が眠っている間書きつづけたという。(p.460-461)
子供を侮ってはいけない、と彼女は言う。子供の想像力は豊かだ。挿絵の一枚もない二二三ページ(第一巻の原書)の細かい活字の本を、子供たちはむさぼるように読む。二十八ヶ国語に訳され、異なる言語、異なる文化の中に置かれても、この現象は変わらない。まだ字が読めない子供も、親が読み聞かせるとシーンとなって聞きほれる。そして、大人も、その心の中に眠っている柔らかい空想の羽が、ハリー・ポッターの魔法に触れ、力強く羽ばたき始める。かつて少年、少女だったすべての大人に、ハリーの物語は「生命の水」を注いでくれる。(p.461)
本当に、物語の世界に没頭できました。
この先6巻、読み進めていくのが楽しみです。
映画も見て見なくては。
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