一つ前の記事でご紹介した「こどもの視展」の中で置いてあった本です。
「もいもい (あかちゃん学絵本) 0~2歳児向け 絵本」(市原淳 著、開 一夫 監修、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017年7月初版)
東京大学あかちゃんラボ(開 一夫教授)発 「あかちゃんといっしょに作った あかちゃんのための絵本」だそうです。
この本の成り立ちが興味深かったです。
「大人が考えるあかちゃんのための絵本」や「大人が考えるあかちゃんが好きそうな絵本」ではなく、
「赤ちゃんが何を考えているのかを実際に聞いてみて、それをもとに本当に赤ちゃんが好きな絵本を制作することにしました」とのことで、
2年がかりの実験の末に誕生した絵本だそうです。しかもそれは偶然の産物。
偶然見つかったあかちゃんの視線をくぎつけにするイラスト
私たちは、科学的な研究を通して赤ちゃんのための絵本を作る「あかちゃん学絵本プロジェクト」を立ち上げて進めてきました。
このプロジェクトのなかでいろいろな実験をしました。
モイモイという言葉に対して、赤ちゃんがどんな形を思い描くのかを調べているときのことです。
あるイラストが、あかちゃんの視線をくぎづけにして離しません。
その注目度は、ほかの倍以上にもなります。
このイラストにはあかちゃんの視線を引きつける特別ななにかがあると考えた私たちは、
ここから「もいもい」というキャラクターの絵本を作りました。
この絵本をあかちゃんに見せるとビックリ!
なんとそれは、泣く子も見つめる圧倒的な注目度のキャラクター絵本だったのです。(Amazon紹介文より)
Amazonのレビューでも、「こどもに見せると泣き止む」という声が多数で、是非ともその現場を見てみたいと思いました。
開 教授がAmazonの本紹介に寄せているこの言葉にはとても共感しました。
あかちゃんの研究をしていると、「あかちゃんって明るい色が好きなんですよね?」とか「丸い形が好きですよね?」とかいった質問をよくされます。
しかし、あかちゃんは大人が思っているほど単純ではありません。
大人が思うあかちゃんの「好き」は、あかちゃんにとって「嫌い」かもしれません。
あかちゃん学絵本プロジェクトは「あかちゃんの立場」を尊重して、あかちゃんが本当に「好きな」絵本を作ることがもくろみです。
赤ちゃんには、いろんな絵本はどのように見えているのでしょうか。
自分たちが通ってきた道でありながら、未知なる存在。
なぜ泣いているかはわからなくても、まずは、この絵本を見せてあげたら、喜ぶかもしれません。
(追記)
このブログをSNSにアップしましたら、子供のいる友人知人から「本当に泣き止む」との証言が多数寄せられました。すごいですね。
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