すべての女性に贈りたい本です。
オードリー・ヘップバーンの言葉(山口路子氏 著、だいわ文庫、2016年8月初版)
ふらっと入った近所の本屋で表紙買い。
いえ、正確には、手にとってぱらぱらとめくり、これは立ち読みではなく手元に欲しい、と衝動買い。
帯にある「読むことで美しくなる本」という言葉に偽りなし。
時代を超えて愛されるオードリー。
可愛らしさと、美しさと、気品と。
そのすべてを持ち合わせ、大成功したあの世界的スターですら、ひとりの女性として抱えていた悩みや求めていたものは、現代の普通の女性と何ら変わらない。
そのことが一番に胸にぐっときました。
本人の言葉と、そこに添えられた著者の素晴らしい解説が、オードリーという人を、とても立体的に浮かび上がらせます。
世界恐慌の年(1929年)にベルギーに生まれ、6歳で両親は別居、9歳で離婚。
10歳で第二次世界大戦勃発。ロンドンの寄宿学校にいたのに、運悪く母親とオランダに戻ってしまい、思春期はナチス・ドイツ占領下で死と隣り合わせの生活。
バレリーナの夢が断たれての、女優業。
2度の結婚、2度の離婚、最後は最良のパートナーとともに*。
2度の流産を経ての第1子、更に2度の流産を経ての第2子*。
*1度目は25-39歳(メル・ファラー)、31歳で出産。2度目は40-53歳(アンドレア・ドッティ)、41歳で出産。最後は、51歳で出会ったロバート・ウォルターズとともに過ごす。
あの天真爛漫さからは想像できない波乱万丈の人生。
そして、内面も、あの笑顔からは想像できない、たくさんの不安とコンプレックスを抱えた人。
一方で、芯のある人。
努力の人。
映画で成功し、ジバンシーと共にファッションリーダーという存在になりながらも、自分のすべてを受け入れて「抱きしめてくれる人」(p.68)を求めていた人。
幼い頃から愛情に飢え、幸せな家庭を切望し、夫を立て、良妻賢母になろうと努めた人。
それでも2人の関係は願うようにはならない。
失敗しても、傷ついても、何度でも愛に生きた人。
そして58歳で、自分の本当の使命を知った人。
求めれば求めるほどうまくいかなくなる様子や、自分に欠けているものを努力で補おうとする様子は、読んでいても切なくて、思わず「もう頑張らないで。あなたはそのままで完全だから。」と声をかけたくなってしまいます。
人生の後半で、本人の生きる意味を見つけたときのことは、心から祝福を送りたくなりました。
正直な、真実の言葉は、凛として、可愛らしくて、愛にあふれ、まさに彼女そのもの。
最期の瞬間まで、全身全霊で生きたことが、伝わってきます。
美について:
私は自分を美人だと思ったことがありません。(p.18)
セックス・アピールというのは、心の深いところで感じるもの。見せるよりは、感じさせるものなのです。(p.30)
年とともに自分が変わっていくのがわかります。でもそれを直視しなければ。みんなが経験することですから。(p.40)
この世で一番すてきなことは笑うことだって本気で思います。(p.42)愛について:
私たちはみんな愛されたいのではありませんか?だから人生のあらゆる時点で、愛情を求めているのではないでしょうか。私にも愛が必要です。愛したいし、愛されたいのです。(p.46)
私はロマンティックな女ですけれど、ロマンスなしで何がありますか?(p.61)
人は誰かを心から愛したとき、すべてがうまくいくという希望をもちます。けれど、いつもうまくいくとは限らないのです。(p.76)仕事について:
私の最大の願望は、いわゆるキャリアウーマンにならずに、キャリアを築くことです。(p.86)
チャンスなんて、そうたびたびめぐってはきません。だから、いざめぐってきたら、とにかく自分のものにすることです。精一杯、頑張るのです。何でも簡単には手に入らないのです。(p.90)
私はこの不安や劣等感をどうにかしてプラスに転じたかった。そのためには、強い精神力を養う以外に方法はないと思い、努力したのです。(p.96)人生、使命について:
私たちには生まれたときから愛する力が備わっています。それは筋肉と同じで、鍛えなくては衰えていってしまうのです。(p.154)
愛は心の奥深くにある感情、生命力の最も大切なものなのです。(p.156)
私にできることはわずかですが、思いがけない贈り物をもらった気持ちです。自分が有名になったのが、何のためだったのか、いま、やっとわかったからです。(p.160)
抜粋しようとすると、本当にキリがありません。
ぜひその他の名言も、解説と共にお読み頂ければと思います。
映画や本を通じてですが、こんなに内面からの美しさが溢れる人に触れることができることに感謝です。
この本を読んで、ますますオードリーのことが好きになりました。
なお、この著者の方の本は初めて読みましたが、山口さんの「誰々の言葉」シリーズや「誰々という生き方」シリーズ、はまってしまいそうな気配です。 他に、ココ・シャネル、マリリン・モンロー、エディット・ピアフ、サガンなど。
容姿、とりわけ胸がないことがコンプレックスだったオードリーが愛したのがジバンシーの服。この春の英国ロイヤルウェディングでメーガン妃が選んだドレスもジバンシー。このブランドについても興味が湧いてきます。
そんな風に「ここみち」(こころの向くまま導かれるまま)な読書が刺激されてしまう本でもありました。
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