ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

心を整える。勝利をたぐり寄せるための56の習慣

ワールドカップ2018 ロシア大会、昨日の 日本 vs セネガル戦、見応え ”半端ない” 試合でした。

いや、ほんとに、逞しかった!

サッカー詳しくないので何も語れませんけれど、素人から見ていても、攻めも守りも、気迫を感じました。その昔、海外の選手に力で負けて倒されるというのを何度も見た気がしますが、今回はむしろ自分から倒しに行く戦いぶりを見て、おお、日本の選手の戦い方とマインドが変わった気がする!とドキドキしました。

個々人の力と、チームの力と、どちらも出し切ったっていう感じが伝わってきて、そういう試合は見ている方の力も入るし、ドローであっても気持ちが良い。きっと相手方のセネガルも戦っていて面白かったのでは。

 

さて、思い出したのはこの1冊。「心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣」(長谷部 誠  著、幻冬舎、2011年3月初版)

ちょうど先日、貸していた後輩からいろいろな人のところを経て、数年ぶり(・・・というか7年ぶり)に手元に戻ってきました。

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

 

初版は2011年3月。ワールドカップ2010 南アフリカ大会にゲームキャプテンとして出場していた長谷部選手が、この大会をきっかけとして、当時の自分の生き方、考え方を綴った本です。当時、彼、27歳。

「中学、高校と各年代の日本代表に選ばれなかった僕が、なぜ日本代表に選ばれるのか」(中略)

 僕には突出したテクニックがあるわけでもないですし、試合を決定づけるフリーキックを得意にしているわけでもありません。監督やサッカー関係者からしてみたら、評価しづらい選手です。でも、僕は生き残ってきました。(中略)

 「僕がここまでこられた。その理由をきちんと説明できれば、きっと誰かの人生のヒントになる」

 弱冠27歳の僕が、こうして本を出すということに抵抗がないわけではないですが、僕は本を書くことによって、自分と向き合ってみようと考えました。(p.8−9)

 

今は帯の言葉はしっかりロシアW杯バージョンに変わっているのですね。写真は27歳のときのまま。うーん、精悍になりましたね。

ちなみに、初版当初の帯は「プロサッカー選手 初の自己啓発書。誰もが実践できるメンタル術!」でした。 

 

心は鍛えるものではなく、整えるもの

20代で「心」というものの大切さに気づいて、うまく付き合っていこうと意識することができる人はどれくらいいるのでしょうか。

当時の私の読書ノートには、「27歳とは思えない、大人な、成熟した考え方」に驚いている自分のメモが残っています。年齢ではなく、経験が人を創るのだなぁと思わされる本でした。

 僕のキーワードは「心」です。僕は「心」を大切にしています。(中略)ただ、よく「メンタルを強くしよう」「心が折れちゃダメだ」「心を磨け」などと言われることがありますが、僕の感覚はちょっと違います。

 僕にとっての「心」は、車で言うところの「エンジン」であり、「ピアノでいうところの「弦」であり、テニスでいうところの「ガット」なのです。(中略)「メンタルを強くする」と言うよりも、「調整する」「調律する」といった方が適している感覚。車のエンジンに油をさし、ピアノの弦を調律する、そして、テニスのガットを調整する。そんな感覚を心に対して持っているのです。(p.9)

 

また、真面目な性格である自分を、変にカッコつけず、変に悪ぶったり、また変に自虐的になることもなく、「自分はこういう人間である」と受け止めているところが素晴らしい、とも感じました。

(前略)僕がなぜこのように「心を整える」ことを重視しているのかというと、僕自身、自分が未熟で弱い人間だと認識しているからです。僕の周囲には、直感重視で心の整理整頓なんていらないよという人でも(中略)、素晴らしい結果を残してきた人、カッコ良く生きている人も沢山います。でも僕にはそれができないということが一番分かっているので、心の準備に神経と時間を費やします。

 時折、もっと豪放に生きてみたいと憧れることもありますが、自分自身の内なる弱さを認め、それと向き合って生きていくというのが自分に向いていると考えています。(p.232)

 

サッカー選手に学ぶ人生のヒント

本の内容は、副題のとおり、「勝利をたぐり寄せるための56の習慣」です。

全部列挙したいところですが、いくつかピックアップ。

#01 意識して心を鎮める時間をつくる 

#04 過度な自意識は必要ない 

#05 マイナス発言は自分を後退させる

#11 孤独に浸かるーひとり温泉のススメ

#13 若手と積極的に交流する

#15 真のプロフェッショナルに触れる

#18 集団やバランスの空気を整える

#19 偏見を持たず、まず好きになってみる

#28 競争は、自分の栄養になる

#30 運とは口説くもの

#34 読書ノートをつける

#35 監督の手法を記録する

#36 夜の時間をマネージメントする

#42 指揮官の立場を想像する

#46 変化に対応する

#53 正論を振りかざさない

#55 日本のサッカーを強くしたい

#56 笑顔の連鎖を巻き起こす

 

どれも本人の実体験から来ている教訓や習慣、信条なので、本書を通じて、彼がこれらをどういうときに、どのように学んだのか、プロサッカーの世界でどんな風にこれらが活きているのか、ということを垣間見ることができました。

サッカーというスポーツの奥深さに触れるきっかけにもなりました。

何事も、極めている人からは、必ず、何かしら、学ぶところがあります。

 

仕事をする上でもとても勉強になったので、職場でも先輩・後輩に回覧しましたが、とりわけ男性陣に好評な1冊でした。

 

6月28日の第3戦・ポーランド戦も楽しみです。

また寝不足になってしまう!

 

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

 
([な]10-1)日本男児 (ポプラ文庫 日本文学)

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夢をかなえる。 思いを実現させるための64のアプローチ

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