図鑑には、なぜかいつもワクワクします。大人になっても面白い、とっても実用的な図鑑のご紹介。「からだにおいしい 野菜の便利帳 (便利帳シリーズ)」(板木利隆氏監修)
野菜、穀物、きのこ、山菜、果物、香草など100種類以上を、美しい写真つきで紹介しています。
栽培の歴史、日本に入ってきた由来、栄養価、効能、日本での栽培地、旬を示す「おいしいカレンダー」などの情報が、とてもコンパクトにわかりやすく説明されています。知っているようで実は知らないことがいろいろ。加えて、おいしい素材の選び方、保存方法、下ごしらえの仕方、調理のポイント、シンプルなレシピ(何も難しいことしなくていいんだ!野菜そのままを食べればいいんだ!と安心させてくれるレシピです)も載っているので、ちょっとした料理本としても重宝します。
色鮮やかなページをめくっているだけで楽しい気持ちになります。同時に、身の回りの食の豊かさを感じます。
この本によれば、例えば、ナスはインド原産で日本には8世紀頃に中国から渡来。オクラはアフリカ大陸原産でエジプトでは2000年以上前から栽培され、日本に伝わったのは幕末頃。ピーマンは中南米原産の唐辛子がコロンブスによってヨーロッパに伝わり改良されて辛味のない唐辛子として誕生、日本で栽培が始まったのは明治時代。
日々当たり前のように口にしている食材は、はるか昔の古代から、先祖が自らの体験と感覚と智慧で見つけてきてくれたもの。栄養素のデータなど無くとも、経験的に「からだにおいしい」ものを見つけてきたことへの敬意と感謝も湧いてきます。だって、ゴーヤを初めて口にするのはさぞ勇気がいったのではないかと。。。水にさらしたり、焼いたり煮たりして、何でも食材にしてしまう人間の好奇心や飽くなき探究心にも改めて感嘆です。いろんな葉っぱにそれぞれ名前を付けて食べ分けるのも、これまた人間だけかもしれません。
また、今一度パラパラめくっていて目に止まったのは、多くの野菜が幕末や明治時代以降に日本で栽培されていること。今も日本が鎖国を続けていたら、今ほど豊富な野菜を食べることはできていない、なんて、考えれば当たり前のことにも改めて気づいたりしました。
私たちの周りには、こんなに沢山の自然の恵みがある。この贅沢さを知ること、そして、この豊かさをずっと享受したいという気持ちは、おのずと、農業や環境、自然との共生への関心に繋がっていくと思います。大好きな野菜の輸入元とは良い関係でなくては、その国で干ばつが起きたら困ってしまう、と、視野も世界に広がります。食育にもどうぞ。
おまけ:オクラの花。初めて見た時、美しさにはっとしました。あのオクラの実とのギャップにも驚きました。野菜の花の中では、一番好きかもしれません。摘む前のオクラの実のうぶ毛は仔猫の毛のように柔らかくて気持ちがよいです。
続編
- 作者: 白鳥早奈英,板木利隆
- 出版社/メーカー: 高橋書店
- 発売日: 2009/04/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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魚編
- 作者: 藤原昌高(ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑主宰)
- 出版社/メーカー: 高橋書店
- 発売日: 2010/05/26
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フルーツ編