5冊目。グランドファーザー(トム・ブラウン・ジュニア著、飛田妙子訳)。
自分のヴィジョンに生きない者は、死んでいるも同然だ。(p.26)
ーーー初めて読んだ時、この一言がグサッと刺さりました。
「グランドファーザー」とは、偉大なる祖父という意味で、ネイティブアメリカン(先住民)の間では、長老たちの中でも秀でた賢者に対して、一族の者たちから贈られる称号だそうです。本書は、幼い時からスピリットの面でも古来の技の面でも優れていたために若い頃からこのグランドファーザーの称号を与えられていたストーキング・ウルフという1人の先住民の生涯を書いたものです。
著者のトム・ブラウン・ジュニア氏は、8歳の時、住処を追われたストーキング・ウルフ(グランドファーザー)と偶然に出会い、彼から先住民に伝わる古来の技術とその精神を学びました。本書では、グランドファーザーの生涯を辿りながら、グランドファーザーが放浪の旅と探求の中でどのようにして古来の技術を獲得していったのか、どのような環境や指導の下で悟りを得たのかということを伝えています。
とても神秘的な感じのする本でどのように紹介して良いのかわかりません。下手な解釈でこの本のメッセージを汚したくないという気持ちもあります。
ただ、この本を通じて、自然と人間との関係、生きていくために本当に必要なもの、ワンネス(存在するものはすべてが1つにつながっているという考え。雨や海や川などあらゆる形の水も、山や岩も、草や木や動物も人間も、すべて分離した存在ではなく1つであるという本書の中心思想)、人間がこの世に存在する意味、人生の目的 などについてきっと多くを学ぶことができると思います。
本当はとてもシンプルなこと。澄んだ泉で洗われるようにそのことを思い出させてくれるような一冊です。
1年ぶりにページをめくってみて、今響くところ:
人間を大地から引き離すのは、肌の色や人種、あるいは宗教や経済的な地位ではなく、ものの考え方なのだ。どんな社会にも、大地に背を向ける人はいる。しかし 彼らは好んでそうするのではなく、無知と貪欲のせいなのだ。良いにしろ悪いにしろ私はすべての人を、地球を破壊する人たちさえ愛さなければならない。戦争 や憎しみは、人の心はもちろん何ものも変えることはできない。ますます状況を悪くするだけだ。すべての人を愛することによって、私たちは初めて何かを変え ていくことができる。まず第一に愛がなくてはならないのだ。(p.156)
霊的な探求は困難なことではなく、自由で純粋なものである…道を困難にするのは、霊的な知恵を定義したり複雑にしたりしてしまう人間とその探求のやり方なのである。(p.174)
著者は、グランドファーザーから彼が学んだことを実地で伝授するサバイバル・スクールをアメリカで開いています。世界中から学びたい人が集まってくるそうです。
Tom Brown Jr's Tracker School
トム・ブラウン・ジュニア氏について(日本語)
http://www.geocities.jp/achilleaaustralia/tracker/tombrownjrtracker.html
なお、たいへん残念なことに本書は絶版になっているようです(私はAmazonのマーケットプレイスで入手しました)。さくらももこさんの新しい装丁で(最初のもの とだいぶ見た目が違うのでびっくり…(・・;))、「グランドファーザーの生き方」というタイトルで改訂版がでているようですが、内容が同じかどうかは確認していません。
※この本については、2016年6月30日に再度取り上げました。こちらもよかったらお立ち寄りください。
当初のオリジナル(絶版):
- 作者: トム,ジュニアブラウン,Tom,Jr. Brown,飛田妙子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1998/10
- メディア: 単行本
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改訂版
原書: