ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

「出現する未来」(Presence)

遅ればせながらあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 読書ブログ3冊目、新年1冊目は、出現する未来 (講談社BIZ)(ピーター・センゲ、オットー・シャーマー、ジョセフ・ジャウォースキー、ベティー・スー・フラワーズ共著)。組織開発やリーダーシップ論で著名な4人が、リーダーシップ、イノベーション、変革の本質を探ろうとして行った1年強に亘る対話をまとめたものです。

出現する未来 (講談社BIZ)

最初にこの本に出会ったのは、1年弱前のこと。友人が絶讃していたので手にとって見たものの、当時は意味不明で、4人のダイアローグを記録した形式もまどろっこしくて、途中で放り出しました。本書の根底にある「U理論」がわかっていないから?とそちらにも手を出してみたものの、そちらは分厚すぎて挫折。

それから半年と暫くして、再度この本と出会う羽目になり。苦手意識を持ちながら改めて最初から読み始めたら、不思議と今度はとても面白い。2014年中に学んだことや経験したことが、この本の中に詰まっていました。じっくり読んで、読み終わる頃には、付箋が沢山つきました。本にも読み時ってあるんだな、と思わずにいられなかった1冊です。

 

当然と思っていることは、実は現代の罠にかかっているということなのかもしれません。変革を起こしたいと思う人は、この本からいろいろなヒントを得られると思います。例えば:

○スピードを落としてみる。

情報に溢れる現代。効率やスピードが重視される現代。その間に見落としているものがあるかもしれません。ゆっくり歩く、じっと見つめる、心の内を静かに見つめる。時には情報から離れて、そんな時間の過ごし方をしてみることで見えてくるものがありそうです。

○断片化、他人事→自分もその問題を構成している一員という認識をもつ。

他人や組織や世の中を批判することはある意味簡単。そういうとき、多くの場合は、問題は、(自分ではなくて)相手に、組織に、世の中にあると考えがちです。自分もその問題が起きることに何らかの形で関係しているという視点を持つと、「ではこの問題を繰り返さないために自分は何ができるだろうか」という発想になってきます。そうすれば、相手が変わってくれるのを待つだけではなく自分で行動を取り始めることができます。

○部分から全体を見る。

何か変えようというとき、組織全体など大きなものを対象にしてしまいがちですが、小さな部分(例:一つのチーム)にその組織の特徴は既に現れています。そこから、具体的にアプローチすることで全体が動くということもあると思います

○問題解決→将来ありたい姿、そうであって欲しいと願う形を描く。

問題解決というと、つい過去の分析をしてその課題を潰そうとしてしまいがち。そうではなく、まず将来ありたい姿、願う姿を描くという発想。この本では、自分がシステムを構成しているという意識を持って現状をしっかりと見つめていれば、その場に求められている姿が現れてくる、自然と見えてくる、といいます。タイトルはまさにこれをうまく日本語にしたなと思います。

○心を開く

出現しようとする未来を見るには、様々な思い込みを取り去って、心を開くことが鍵です。

 

ということで、 メッセージについて今の私なりの理解は、本の言葉も借りつつ書いてみるとこんな感じです。

まずスピードを落とし、自分自身と世界を深く見つめる。自分たちもその課題を生み出す一因となっていることに気付いた時、課題との関係は変わり、断片化が終わる。出現しようとするものと一体になる。そのときには心が開かれ「では、自分たちは何を生み出したいのか」と問わずにはいられなくなる。世界で必要とされていることのために、果たすべき役割が自分にあることを発見する。この発見があった瞬間に、人は「決断」をするという感覚もなく速やかに動くことができる。

 シンクロニシティ的なことを少しでも経験したことがあれば、きっと「うんうん、そうだよね」と自分の体験を振り返ったり、更に深めることができる本だと思います。

 

ちなみに、私がこの本を理解できるようになったきっかけは、CTIジャパンによるコーアクティブ・リーダーシップ・プログラムへの参加でした。10ヶ月間の様々な体験を通じて、このプログラムでは、本書に書いてあることを、体で感じ、でというよりも、心と体で理解できるようになります。人生に大きなインパクトを及ぼす素晴らしいプログラムでした。


リーダーシップ|CTIジャパン

 

それにしても、この本の中には、オットー・シャーマーの「U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術」、ジョセフ・ジャウォースキーの「シンクロニシティ[増補改訂版]――未来をつくるリーダーシップ」、ピーター・センゲの「学習する組織――システム思考で未来を創造する」で読んだようなことが登場します。これらの本の中にもお互いの名前や研究が出てきます。仲間で稼ぎあっちゃって、とも、ちょっと思いました。笑。それでもまた読んでしまうと思いますが。

出現する未来 (講談社BIZ)

出現する未来 (講談社BIZ)

  • 作者: P.センゲ,O.シャーマー,J.ジャウォースキー,野中郁次郎,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/05/30
  • メディア: 単行本
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  U理論(オットー・シャーマー著)

U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術

U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術

  • 作者: C オットーシャーマー,C Otto Scharmer,中土井僚,由佐美加子
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2010/11/16
  • メディア: 単行本
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シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ(ジョセフ・ジャウォースキー著)

シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ

シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ

  • 作者: ジョセフ・ジャウォースキー,金井壽宏,野津智子
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2007/10/02
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学習する組織(ピーター・センゲ著)

学習する組織――システム思考で未来を創造する

学習する組織――システム思考で未来を創造する

  • 作者: ピーター M センゲ,Peter M. Senge,枝廣淳子,小田理一郎,中小路佳代子
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2011/06/22
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神話の力(ベティー・スー・フラワーズはこのTVシリーズの制作に協力)

神話の力

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