ここみち読書録

プロコーチ・けいこの、心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

ぼくを探しに

古本屋さんで物色中に、久しぶりに出会いました。

おおー!と嬉しくなって立ち読みさせて頂いて、うーん、なんていい本なんだ、と改めて思いました。

大人になって読み直したい本の仲間入りです。

新装 ぼくを探しに」(Shel Silverstein(シェル・シルヴァスタイン)氏 著、倉橋由美子氏 訳、講談社、1979年4月初版)

 

新装 ぼくを探しに

 

絵の表紙にいる、パックマンのような愛らしい主人公が、自分の「欠けている部分」を完璧に埋めてくれるものを探しに行く物語。

「欠けている」から、まん丸ではなく、だから転がらない。

だから、進むのもゆっくり。

昆虫に追い越されたりもする。

途中で花にも出会ったりする。

 

ゆく道で出会うかけらは、小さすぎたり、大きすぎたり、形が合わなかったり。

そして出会ったぴったりのかけら。

完璧な丸になった主人公。

まん丸だから、転がる転がる。

早く進める。

 

けれども、もう、昆虫もついてこれず、花があっても止まれない。

 

そうして主人公がとる選択は・・・。

 

 

これ、原題は、 「The Missing Piece」というのですね。

原題も、邦題も、内容にぴったり。

 

 

人はついつい、今の自分に備わっていないものに注目してしまいがち。

そして、それを埋めることに、とても一生懸命になってしまう。

それがなければ「本当のじぶん」ではない、とでもいうように。

 

それを埋めるという目標の前には、それ以外のものをとても小さく扱ってしまったりもする。

実は今日、目の前に、素晴らしい笑顔や出会いや驚きや感動があったりするのに。

そんなものは全く気づいていないのか、あるいは気づいていてもappreciateせずに。

 

完璧になったら人生はもっとよくなるはずだ、とも、私たちは思っている。

完璧な状態でないからこその、寄り道や面白さや味わいが、きっとあるのに。

 

仮に完璧な状態を達成したとしても、私たちはすぐに次の「欠けているところ」を見つける。

永遠に終わりの来ない追求のループ。

そのループの外に、もっと楽しいこと、やるべきこと、意義深いことがあるかもしれないのに。

 

「欠けるところのある自分」では、何かができないとも思っている。

そんなの、誰が決めたのだろう。

それは、実は、一歩を踏み出さないための言い訳かもしれない。

 

 

そもそも、私たちは、何か欠けているのか。

「欠けている!」ともし思う方がいるならば、コーアクティブ・コーチングの根底にある人間観を届けたい。

People are Naturally Creative, Resourceful and Whole.(NCRW)

人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である。

コーチング・バイブル

 

完璧ではないかもしれない。でも人間として何かが欠けているわけではない。

今のままでもいい。追い求めたっていい。どっちでもいい。自分で決めていい。 

 

大事なのは、その動機が喜びからくるものなのか。ゆずれない目的からくるものなのか。自分が欲しているものなのか。

そうしなければ生きてはいけない、そうしなければ負けてしまう、そうしなければ認めてもらえない・・・。もしそんな怖れから自分が動かされていると感じるならば、一度立ち止まって、自分に問うてみてもいい。

それは、本当だろうか。

そしてこのパックマンくんに出会いに行くのもいい。

 

 

そういえば、続編、まだ読んでなかったのでした。そのことを思い出させるために、古本屋にいてくれたかもしれません。

 

新装 ぼくを探しに

新装 ぼくを探しに

 
続ぼくを探しに  ビッグ・オーとの出会い

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The Missing Piece

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The Missing Piece Meets the Big O

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