ここみち読書録

心の向くまま・導かれるまま出会った本の読書録。

コーチング・バイブル(再掲)

オリンピックから目が離せません。テレビを持っていないので、朝はNHKラジオ(実況中継は想像力がたくましくなります)、仕事から帰ったらNHKのウェブにかじりつき。正直なところ、開催までは、準備の遅れやブラジルの政治の混乱、ジカ熱不安から不参加の選手が出るなど、本当に開催できるのだろうか?と心配する方に気を取られていたので、どんな選手がいるのかよく知らず、連日の快進撃に、今の日本はこんなに強かったのか!と驚いています。

 

選手たちの競技する体の美しさ、真剣さ、気迫には吸い込まれます。

全神経を集中する。

全身全霊をかけて挑む。

渾身の力を振り絞って最後の瞬間まで戦う。

今まで積み上げてきたものをただ信じて。

勝利の笑顔、やりきったという達成感、歓喜、安堵、感極まっての涙、悔し涙、落胆、苦渋、感謝。

彼らを見ていると、「ああ、このアスリートたちは今この瞬間を生ききっている、なんて美しいんだろう」とこちらの胸も熱くなります。

そしてまた驚くのが決勝で負けた後の3位決定戦。今回のオリンピックは、何だか今までにないようなメダルへの執念を感じます。彼らを勝たせているのは、もはや体力や技術の優位性ではなく「絶対にメダルを取る」という強い気持ちであるように見えます。それほどまでに譲れないものがある。どうしても叶えたいものがある。

 

彼らに対して、祝福の気持ちや尊敬の念が湧いてくるのと同時に、自分も今を生ききりたい、自分のエネルギーをもっと使いたい、自分が信じるものに打ち込んで高みを目指す、大切に思うものに向かって真剣に生きるーーそんな生き方をしたいというような思いが湧いてくるのは、私だけでしょうか。

おそらく、私だけではないと確信しています。「自分が信じるもの」「大切に思うもの」が何であるかがまだわからない人も含めて。きっとその方々はそれを見つけること・出会うことを切望しているのではないでしょうか。

そして、そういう人生へと向かう人々をお手伝いするのが、コーアクティブ・コーチの役割だと思います。

 

コーチング・バイブルを以前紹介した時は(ちょうど1年前!Time flies...)、主にコーチングがどんなものかということを書きましたが、今回は、オリンピック選手に触発されて、コーアクティブ・コーチングが考える、よりよく生きるための3つの指針とそれに対するコーチの関わりについて、本書の言葉も借りながら、もう少し紹介したいと思います。

 

コーチング・バイブル―本質的な変化を呼び起こすコミュニケーション (BEST SOLUTION)

 

フルフィルメント(Fulfillment)

自分が最高に生き生きしていた瞬間を思い出してください。そのときのことです。一言で言えば、充実感。満たされている感覚。一時の「快感」ではなく「充実感」。

人は、目いっぱい自分という存在を表現したり、自分の価値観に従って人生の目的を実現している時に充実感を感じます。周りの状況にかかわらず、その人が100%その人らしく生き生きとしている状態です。体が内側から震えてきたり、涙があふれたりすることもあるでしょう。そういう状態をコーアクティブ・コーチングでは「響いている」と表現しますが、響いている人の目は明らかに違います。きらきらと輝いていたり、力強い生命力を感じたりします。そしてこの状態の人が放つエネルギーはもう止められない感じで、周りにも伝播し、気づいたら巻き込まれてしまっていることも少なくありません。勝負の結果にかかわらずオリンピックで全てを出し切って戦う選手たちはまさにフルフィルメント。そこから私たちが受けるインパクトを思えば、この威力についてこれ以上語る必要もないと思います。

面白いのは、順風満帆とか楽しいこととフルフィルメントはイコールではないこと。自分の信念を貫くことは実はとても勇気が必要で、時にはとても苦しいものです。思う通りに物事が進まない、そんな最中にあっても、その価値観に向かって突き進んでいる時、きっとその人は「生きている」ということを強く感じているはずです。選手たちのこれまでの4年間はその最たる例と思いますが、きっとどなたにも何らかの形でご経験のあることではないかと思います。 

コーチは、クライアントの価値観や人生の目的を明確にすることを手伝ったり、夢を追いかけるのをじゃまするもの(サボタージュ)を追い払ったり、クライアントが勇気ある人物だということを讃え励ましたりして、 クライアントが自分らしいフルフィルメントな人生を歩むことをサポートします。

 

バランス(Balance)

「ワークライフバランス」とか「バランス良い食事」などの言葉が世の中に溢れている分、「バランス」という表現からは、ちょっと抑えめの、とか、動より静のイメージを持たれるかもしれませんが、ここでいうバランスは、例えばスキーをしたり、平均台の上を歩いたりするときに、腕を使ったり腰を落としたり、あるいはむしろスピードを上げて飛んでしまったりして、動きながらに体全体でバランスを取っているという方のバランスです。

私たちは人生で、困難や行き詰まりに思えることにも直面します。そんなとき、そこで長い間うずくまったり諦めてしまうのではなく、他の視点に切り替えたりして軽やかに超えていく、そんなしなやかさがあれば、私たちの人生はよりダイナミックなものになります。また、周りの環境によって自分の生き方や世界が決まるのではなく、自分で自分の人生の主導権(コントロール感)を握って生きていくことができれば、より自由に(他人ではなく)自分の人生を生きていると実感するでしょう。

コーチとの対話で、あなたは自分自身がどんなメガネで世の中を見ているのか、どんな思い込みに縛られているのか、に気づくでしょう。そして、どの視点を選ぶかは自分次第だということに気づいたときからまた一つ自由になります。そうして、絶えず変化し続ける予測不能な人生という流れの中で、バランスをとりつつ人生の目的に向けてカヌーを漕いでいくことができます。

 

プロセス(Process)

私たちは日頃、どれくらい自分の感情を表現しているでしょうか。どれくらい自分の感情に気づいているでしょうか。特に組織では感情を表に出すことは良しとされていないことが多いので、知らないうちに、自分の感情に気づけなくなっている、感情なんか忘れたよという感覚の人も少なくないと思います。それはほとんど、人間としては死んでいるに等しいかもしれません。

私たちはついつい、何かを達成するとか、何かを得るとか、そういう結果の方に目が行きがちで、その過程(プロセス)においてどんな体験をしているかということに注目することを忘れがちです。本当は味わい深い人生を送りたいと思っているのに。

食事を「味わう」とき、どんな食べ方をするでしょうか。ガツガツ完食を目指して食べることはないと思います。もっとゆっくりと、香り、歯ごたえや舌触り、変化する味などに意識を向けて楽しむでしょう。人生も味わおうと思えば同じです。ペースを落として、今、自分の心や体に起きていることに意識を向け、自分の中に起きていることを自覚し、またそれを言葉や体で表現することで、人生の瞬間瞬間を深く味わい、自分らしく感情豊かに生きることができます。

選手たちの歓喜の雄叫び、ガッツポーズ、はち切れんばかりの笑顔、こらえきれない涙、悔しさで歪む顔。感情には良い感情も悪い感情もありません。彼らは、ただ溢れてくるものを体中で味わい、表現しています。それこそが今この瞬間を生きているということです。そして、この人間らしさに私たちは心打たれるのだと思います。

コーチはあなたと共にいます。喜びを一緒に喜んでくれる人がいる、辛いときをただ共にいてくれる人がいる、それはとても嬉しく、心強いものです。人生という川を川岸に座って眺めるのではなく、その川の流れの中に入る。たとえ激流にのまれたとしても、その激流を他人事のように眺めているよりも、はるかに自分は生きているということを強く感じるでしょう。そして、不思議なことに、次へのエネルギーはそこから湧いてきます。  

 

スポーツ界ではコーチの存在は当たり前ですが、ビジネスやプライベートライフのためのコーチも存在します。コーアクティブ・コーチングはそのどちらにも適しています。

はい、ビジネスにも。クリエイティビティやイノベーション、リーダーシップが問われる現代のビジネスにおいては、もはや企業のあり方や方向性を、経営者自身や社員ひとりひとりのフルフィルメントとは切り離すことはできなくなってきています。もちろん切り離してもいいのですが、それではどこかに限界があるように思います。

 

夢に向かって努力する姿、静かに集中している姿、なりふり構わず一生懸命に何かに取り組んでいる姿は、豊かな感情が溢れ出る人間らしい姿は、誰であっても美しい。男性でも、女性でも。子供でも、お年寄りでも。そしてそれがどんなに小さなことであっても。

コーアクティブ・コーチとして、そういう姿が沢山見れるような社会に向けて関わっていきたいと思うと同時に、そして私自身もそうやって生きていく一人でありたいと思います。

 

なお、この夏、CTIジャパンの初の試みで、8月末まで、 全国各地でコーチング体験イベントを実施しています。その名も、そのまま「Let's コーチング」。短いセッションを体験することができます。もし興味を持たれた方、是非、下記のサイトでお近くのイベントを見つけて参加いただくか、あるいはサイト末尾のフォームからお問い合わせください。ひとりでも多くの方に、このコーアクティブ・モデルが届きますように。

letscoaching1000.wixsite.com

 

最初に本書を取り上げた時の記事はこちら:

www.cocomichi.club

 

 

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